破壊と愛の衝動

半日かけてじっくり読んでしまいました。
カイ・ヴェルバーから分離した《破壊衝動》は、実来によってクク・ルークと名付けられます。そんな二人の心温まる交流……と思いきや。
三人の主人公視点で語られる厚みのある物語。しかしその中のユキマサが、本筋とあまり関わりないのでは?と思わせたところで終盤の展開。
とにかく読者を飽きさせない構成の工夫が見事でした。
キャラ個性、心理描写ともに作者さんの技量が光りまくってます。

《想いの残骸》や《心寿》というオリジナリティ溢れる設定も良かったです。破壊、殺意、希望、喜び、独占欲、孤独、恐怖、愛情……。人間の持つ感情をテーマに、多角的な視点からストーリーを展開していました。単なる異能バトル物じゃないのが良かった。

『愛情の裏返しは憎しみではない』。マザー・テレサの言葉を思い出す作品です。人間の感情、それも『愛情』というものの本質に限界ギリギリまで迫った名作でした。
これほど深い『愛の物語』に巡りあえることも稀なので、本当に満足のいく読了感でした。

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