ゆっくりと育む、愛の物語。

恋愛ものと聞いて、パッと想像する作品とは趣が異なります。

私見かもしれませんが、多くの恋愛ものは、まず恋に落ちる事ありきで物語が展開するのが一般的かと思います。
ですが本作は、明確に浅緋の恋愛感情が描写される場面が驚くほどに少ない。
それどころか、トキ君が登場しない回すらあります。
でありながら、間違いなく"愛の物語"であると断言できるのが本作の特徴でしょう。

これは一人の、不器用で、口下手で、意地っ張りで、しかし大人になりきれない少女の成長を描いた物語。
時に隣人であり、時に兄であり、時に父のようですらあった彼がしてくれた、ひとつひとつの事の意味に気づいていく物語。

突然始まった家族という関係に始まり、成長とともに彼の優しさに気づき、信頼し、憧れを経て、愛に至る物語。

そもそも愛の根底には、相手を理解し、敬う姿勢があるものです。
愛を育むとは、本来こういう事なのかもしれません。

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