括目せよ、邪神に与する者たちを狩る夜鷹は『二度』天を駆ける。

 世界中に根強いファン、いやもとい信者を多数擁する暗黒神話ことクトゥルフ。
 だがそれらが内包する神々、体系、各地に伝わるエピソードはあまりにも厖大だ。

 この作品の主人公ウィップ・アーウィルはその神話の新参者ではなく、はるか昔から『在った』ジグソーパズルの1ピースであるかのように描かれている。
 そこに作者の力量のみならず腐心したさまが伝わってくる。

 クトゥルフ初心者に対しては無味乾燥な箇条書きではなく、ストーリーを通じて押しつけがましくなく読み解かせてくれる。
 ウィップ一流のユーモア、ジョークを端的に示すようなルビの振り方に、古参の邪神ファンもニヤリとさせられる、はず。

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