クトゥルフ×ダークヒーロー=傑作

クトゥルフ神話を題材にした小説で最も難しいのは、前提の知識でも、邪神の起用法でもなく、空気の表現だと個人的には思います。
この作品が数多あるクトゥルフ系の作品と比して突出しているのは、まさにクトゥルフ独特の空気感を上手く表現できていることではないでしょうか。
夕暮れに鴉が不気味な鳴き声をあげているような、路地裏で痩せた犬が誰もいない場所に向かって吠えているような、漆喰塗りの家々に囲まれているのに墓場の中にいるような、そんな空気感。
そこで活躍するのは、これまた異常にカッコイイ謎のヒーロー。
ましてや、目的が正義の執行なんて気配は欠片もなくて、ただ害虫を潰して回るだけの大雑把さ。
自分一人で星5個くらい付けたいです。
読ませていただき、ありがとうございました。

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