ジャズ・エイジだあああああああああああああああ!!!!!!

 この作品の魅力を書くとしたらなんだろう。
 分かりやすい文章? クトゥルフを知らない人にも親切な構成? それとも最高にクールなヒーロー?
 この作品だったらいずれも楽しむことができる。
 でもあえて一つ挙げろと言われたら、私はこの作品の第一話が日本語で書かれたとびきり上等なジャズ・エイジだという一点でオススメするだろう。

 退廃、混沌、繁栄、悲惨極まりない第二次世界大戦の直前に一瞬だけ訪れた黄金の夢。ジャズ・エイジ。
 その輝きをあますところなく描写した作品はクトゥルフの原点であるにも関わらず、日本の創作では実に貴重なのである。
 神話生物から漂う汚穢、恐怖、未知、それらの多くがこの黄金の時代の想像力を元にしているにも関わらずだ。

 ともかく第一話を見て欲しい。第一話を見てしまえば貴方もきっと引き返せなくなる筈だ。
 実際の所、ジャズ・エイジ以外にも1950年代アメリカ、現代アメリカ、現代日本を舞台にしている(その上いずれの描写も素晴らしい!)のでクトゥルフを知らない人でもクトゥルフを知る切っ掛けになる作品にもなる。
 だがそれらの魅力に関しては他のレビューに任せることとする。ともかくこの第一話、それと個人的に大好きなニャルラトホテプが活躍する第六話と猫の可愛い第十三話を是非楽しんで欲しい。
 でもそうなると若き怪物の肖像編を勧めずに入られないしええいともかく全部読めってことになるのである。全部読め。

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