蓬莱のシーフー

作者 毒島伊豆守

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130人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

まずは一口食べてみてください。

出来たて熱々の一口に、胃の中にじわっと熱が広がり肩の力が抜けるあの感じ。
出来たて熱々の一口に、吹き出す汗と燃える体に我を忘れてかき込むあの感じ。

あの感じ、いいよね。

この物語もあの感じだ。
もう一口と進める手が止まらなくなるだろう。

たまには箸休めと甘味に頬を緩ませたり、苦くて酸っぱい味に顔をしかめる時もあるかもしれない。
中華料理は火力とスピード勝負。物語も軽快に、勢い良く食べ進めることが出来る。
なにしろ隠し味は、長い年月練り込んだ仙人と妖怪と……これ以上は貴方の舌で。

酸いも甘いも口一杯に頬張れば、次の視線は料理の先の、彼や彼女に向かって行く。
鍋を振るう腕、料理を運ぶ足、注文をとる声、お辞儀をする笑顔。
そこには料理と同じくらい沢山の熱いものが詰まっていて、貴方はもっと暖かく、時に熱くなるはずだ。

美味しい物を食べた後は、お腹が暖かくなった後は、眠くなってくる。
そして寝て起きたら、また一日頑張ろうと始められるだろう。

誰かがゆっくり眠るため、今日も中華鍋は熱くなる。

★★★ Excellent!!!

個人経営の中華料理屋を舞台に、短いエピソードがテンポよく並べられ、とても読みやすい印象でした。
その中でそれぞれのお話がコメディあり、バトルあり、人情話ありとバリエーションに富んでおり、まるで様々な味のフルコースを頂いているような気持ちになりました。
特に調理描写や食事の描写が食欲をそそり、飯テロとも呼べる表現技法は見習いたいレベルでした。
読むとお腹が空くけど、心は満たされる。そんな素晴らしい一作だったと思います。
キャラクターや展開の要素を見ても高クオリティなので、続編が早く読めることに期待したいです。

★★★ Excellent!!!

ピンチにはどこからともなく現れるのに、ビシッとキメるわけでもなく、ヒロインをカッコよく守るわけでもない。どこか飄々としていてつかみどころのないヒーロー像が後をひく。
一軒の中華料理店を舞台に、何気ない人間模様が繰り広げられたかと思えば、妖魔や仙人が登場する不思議な世界に誘われたり。それらを違和感なく調和させるのは、作者の料理の腕前ゆえか?
これから、どんな料理が並べられるのか、楽しみにしながら味わっていきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

 とある街の個人経営の中華料理店に無頼な青年が現れるところから本編は始まる。
 彼の働きで倒産、転売を免れた中華料理店、そこでは食を主体にした大小さまざま悲喜こもごものストーリーが展開される。

 若い女主人が従業員に懐く恋心、わがまま放題に育って母親を顧みない家庭問題。
 また、軽犯罪を娯楽のように楽しむ小心者、生前の罪、行いが斟酌されず地獄へ行く者、登場人物も様々だ。

 バラエティーに富んだ登場人物を書き分けストーリーを構築する。
 それはさながら料理という小宇宙を構築するのと同義なのではないか?

 茫洋とした(見た目だけに限る)青年はある問いを投げられ決断を下す。
 そこから生まれる「新たな言葉の料理」、是非味わい尽くしたいものだ。

★★★ Excellent!!!

「振ってよし、殴ってよし」とはよく言ったもので(今は別のキャッチコピーになってますが)、宝貝を中華鍋として振るう料理人仙人という設定が絶妙!
料理を介した人情噺が展開されたかと思えば、突如として地底人が襲ってきてのバトルものになったりと、実に小気味よく物語が動いて読者を飽きさせません。
この絶妙な風味の物語、味わずにいるのは勿体無いぞ!

★★★ Excellent!!!

 下町の中華料理屋、看板娘と謎の多い料理人が今日もお客様を出迎えます。

 料理の描写も本格的で匂い立つような飯テロ小説の一面を持ちつつも、その1話1話は綺麗にまとまっている。それは作者様が心血注いで描く鮮やかな料理さえ、物語の付属品にしてしまう。
 では見所は何か。
 オカルトなアクション? 
 二人の関係性? 
 それもあるだろう。いや、私が一番推したいのはやはり人間ドラマか。長く冗長に書くことなく、短い中に綺麗にこめられた人の生き様は物語を料理以上に味わい深く魅せてくれる。何気ない仕草、発言がただのモブですらその過去さえ見えるようにぐっと濃い。
 物語の切り口と文章は軽妙で読みやすい。だが飯テロやアクション、料理店の事件をポンポンと読み進めながら名脇役たちの息遣いを確かに感じることができるだろう。

★★★ Excellent!!!

豊富な語彙という食材を、ここまで独自に調理する毒島伊豆守さんの文章センスに脱帽です。時に軽やかに、時にしっとりと。ここまで自在に物語を描き、魅せてくれるとは思いもよりませんでした。

本当に不思議なもので、この作品を読んでいるだけで、お腹は空くわ、手作り料理を食べているような温かみを感じるわ、大好きな先輩と話しているような親近感を覚えるわ、と様々な気持ちが駆け抜け、満たされていくのです。
この味を知ってしまったら、何度読み返しても飽きません。『やみつき』とは、この作品のためにある言葉ではないでしょうか。

どこか捻くれたこの言葉の運び方は、方向性は違うものの、森見登美彦さんに近い香りを感じました。より現代向けに特化している辺り、時代の先を行っている気さえします。はっきり言います。これはもう、プロ顔負けです。

この作品一つで、カクヨムというこのサイトはオープンした価値を示したと思います。本気でそう言い切れてしまうほど、素晴らしい作品です。

まだの方、是非ご賞味ください!

(『ようこそ蓬莱軒へ』まで読了してのレビュー)

★★★ Excellent!!!

 中華料理といえば鉄鍋のジャン!だった私は中華料理という時点で「きっと奇人変人が料理で殴りあうクッキングバトルに違いない!!」と勝手に思い込んでいたのですがそんなこと有りませんでした申し訳ございません。
 はい、魑魅魍魎とお鍋で殴りあった後、人間ドラマにまじかるクッキングで希望の光を与える素敵な作品でした。バトル物的な熱さと王道のお料理漫画的な人情を兼ね備えています。
 それにしても作者様の引き出しがパないですよ。元々作者様の仮面の夜鷹の邪神事件簿に惹かれていたのですが、なんとまあ邪神プロレス中華料理仙人でそれぞれについて細かく描写できる知識量が羨ましい。自分の知識を上手く運用できる技量も羨ましい。羨ましい……。
 個人的には第四話のダークな感じとそれに対応して自ら足をすすめる者を救わんとするヒロイックな第六話が両方共ツボでした。
 あと大好きなクトゥルフネタが入ってくる第二十話も良いですね、邪神退治SANチェック不要! 妖神グルメ! 鍋は神より強し!粽食べたい!

 皆さんも是非ご賞味あれ

★★★ Excellent!!!

この物語の特徴を最初に言い表すならば、「腹が減る」。
人の生活に欠かせない食があり、それを作る料理人がいる。
『蓬莱のシーフー』というタイトル通り、シーフーの「料理」を交えた、奇っ怪な「ドラマ」が繰り広げられるわけですが、調理過程まで細かに描写された調理シーンとそれを食べる食事シーン、とにかく「腹が減る」のです。
読めばするりと飲み込むように広がる物語の世界、一度味わってみませんか。

★★★ Excellent!!!

圧倒的飯テロ。
食前だろうが食後だろうが関係ない。これを読んだが最後、押し寄せる空腹感に悶絶すること間違いなし。
そして明日からは「お昼は何にしよう?」と思うと同時に最寄りの中華料理屋の暖簾をくぐることになる。

登場人物もまた魅力的。
カンフー店長、茫洋な料理人、一癖も二癖もある従業員、とりあえずぶっ飛ばしたくなる敵役……。

ストーリも事件があったり、人情モノだったり、あるいはコメディであったり。
それこそ料理屋のメニューの如くあらゆる味が楽しめる。

さあ、次の料理(おはなし)はなんだろうか。

★★★ Excellent!!!

 まず始めにこれはキャッチコピー通りの話である。振ってよし、殴ってよしとは物語の言い換えであり、料理だけではなくファンタジー的要素も詰められた作品だということをご理解頂きたい。
 誰かを喜ばせるために一工夫する魔法。料理人の筋を通すための魔法。その他もろもろ、それらはすべてフェイクであるが故に現実味がある。
 そして逸脱しているのはやはり、料理だったりお酒だったりで表現される作品の完成度の高さだろうか。悪人にしかるべき処置をするのも主人公の役目だ。出てくるキャラクターたちの中には人外だって勿論存在する。なぜならこの物語はあくまでファンタジーなのだから(人件費はかかりません)。
 もし一話で肌に合わなかったとしても、地獄のサンラーメンまでは見て欲しい。
 作者の伝えたいメッセージはやはり現代ドラマの枠を越えない。リアルかつ納得のいく結末。地獄のサンラーメンⅡの結末に到っては頷くしかなかった。
 そして何より腹の虫が鳴る。飯が上手くなる。
 これを見てすぐに四川ラーメンに駆け込みました('ε' )

 ※魔法という表現自体はあくまで私の言い換えです。

★★★ Excellent!!!

この作品の魅力は多くありますが、料理の描写こそが、その最たるものでしょう。
中華料理の魅力をあますところなく、伝えてくれます。
往々にして料理をテーマにした作品は、「料理描写以外が面白い」か「料理描写だけに力が入っている」という事になりがちですが、この作品は、料理描写もそれ以外のところも素晴らしい。文句のつけようがありません。

ランキング一位を取るにふさわしい作品だと思います。応援しています。

★★★ Excellent!!!

お、おおお! これはすごい!
チャーハンを作る描写はまさに圧巻。
大胆でありながらも繊細。豪快でありながらも絶妙。
美味しいを超え、美しささえ感じさせてくれます。
ストーリーも安定しており、中華を舞台にした映画をありありと魅せられている気分にさせられます。
困った時にじゃんと解決、シーフーのカッコ良さが光ります。
あー! チャーハン食べたいっ!

★★★ Excellent!!!

すべてのシーンを、漫画のコマ割りで 想像してしまう。
弟の少年ジャンプを 毎週楽しみにしていた時の気分。

チャーハンの米粒が飛んだシーンで 時が止まったと思ったら
次には すごいスピードで流れ出す。

そして、シーフー(@カンフーヒーローのよう)は
やはり遅れて いいところで現れるのである。

★★★ Excellent!!!

 バトル物かと思えば、ぶっとんだコメディー、そして胸を鷲掴みにしてくる人情絵巻、なんたる八宝菜!
 今夜のあなたの為に料理されたひと皿が、必ず心をお腹いっぱいにしてくれます!
 そんな料理に、お代は要らないなんて……。毎日通いたい!
 個人的には「お代は結構です」が好きです。なんとなくどたばたときて、急に心温まるお話。ぐっときて幸せになりました。

★★★ Excellent!!!

父親が死に、店が地上げ屋に狙われるようになってしまった私の前に現れたのは、背中に北京鍋、ベルトに骨刀をそなえた男シーフー。
超速採用してしまった男だけど、そいつはなんだか妙なやつで……。
現代ドラマ? 妖怪? 仙人?
否、否、否否否。これは飯テロ小説! ここに開幕!

★★★ Excellent!!!

面白い! たった一人の父を亡くした「あたし」は、父が残した蓬莱軒を継ごうと決心。二十歳の小娘に、ガラの悪い不動産屋に摩訶不思議と、次々と事件が起こる・・・ 蓬莱軒を守れるのか? そして、蓬莱軒の秘密とは?

二人の掛け合いがイキイキしていて良かったです。突然現れたシーフーには秘密があるのですが、ここには書きません。

蓬莱軒を守ろうとする主人公のけなげさが強く印象に残りました。随所に挿入される爽やかな季節感も好きです。

続きを楽しみにしてます。

★★★ Excellent!!!

飄々とした料理人シーフーが織りなすテンポの良い会話と、人の心を揺さぶる中華料理の描写が素晴らしい。基本的に1話完結で読みやすく、話ごとに主人公が変わるので飽きが来ない。
個性的なふり仮名が多用されすぎて逆に読みづらい部分もあるけれど、それを差し引いても素晴らしいクオリティーの作品だと思う。

★★★ Excellent!!!

目の前に広がる数多の料理…サラダにフルーツ、パスタにカレー。
ハンバーグにエビフライ唐揚げ、お寿司に焼き肉ラーメンと。
ほら、その向こうにはケーキにアイスにゼリーにクレープ。
百味百彩の味の並ぶ、ブュッフェは誰でも心が躍る。ヒトの五感と心を癒してくれる色とりどりの美味をたらふく頬張りたい…蓬莱のシーフーは、まさにそんなお話です。