仙人兼料理人、下町の中華屋に現れる。
- ★★★ Excellent!!!
下町にある『蓬莱軒』は近隣住民から愛される中華料理店。しかしある日店主が病気で亡くなってしまう。残された一人娘は店を継ぐ気が無かったが、かといってすぐに店を売るのも釈然としない。そんな中、貼りっぱなしにしていた求人のチラシを見てやってきたのが料理人のシーフー。店を訪れる地上げ屋をあっさり撃退した彼は、その場で採用されるのだが、実は彼はただの料理人ではなく仙人でもあって……。
舞台が料理店ということもあって、炒飯や豚の角煮といった王道のものから、ドレッシングにこだわったダイエットメニューや西紅柿鶏蛋蓋飯といったちょっと珍しい料理まで、中華ならではの幅広い料理が登場するのだが、どれも非常に美味しそう!
また仙人ということもあって、普段はぼんやりしたシーフーが店で起こる様々なトラブルを解決していく様子も面白い。時には仙術を使って迷惑客を撃退し、時には背中に担いだ中華鍋で妖怪退治をしてみせたりと、料理のメニューだけではなく、話の幅が広いのも嬉しい一作だ。
(「様々な妖怪変化」4選/文=柿崎 憲)