この独特な味、やみつきになります!

豊富な語彙という食材を、ここまで独自に調理する毒島伊豆守さんの文章センスに脱帽です。時に軽やかに、時にしっとりと。ここまで自在に物語を描き、魅せてくれるとは思いもよりませんでした。

本当に不思議なもので、この作品を読んでいるだけで、お腹は空くわ、手作り料理を食べているような温かみを感じるわ、大好きな先輩と話しているような親近感を覚えるわ、と様々な気持ちが駆け抜け、満たされていくのです。
この味を知ってしまったら、何度読み返しても飽きません。『やみつき』とは、この作品のためにある言葉ではないでしょうか。

どこか捻くれたこの言葉の運び方は、方向性は違うものの、森見登美彦さんに近い香りを感じました。より現代向けに特化している辺り、時代の先を行っている気さえします。はっきり言います。これはもう、プロ顔負けです。

この作品一つで、カクヨムというこのサイトはオープンした価値を示したと思います。本気でそう言い切れてしまうほど、素晴らしい作品です。

まだの方、是非ご賞味ください!

(『ようこそ蓬莱軒へ』まで読了してのレビュー)

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