最近ちょっとこの作品に出てくるポラックというキャラがお気に入りになりすぎたので、その魅力を少しでも伝えるべくレビューを書き直します。
スリマジェは主人公たちのサングリアル軍と、敵側のダンセイニ軍が戦うお話なんですよ。
主人公側に魅力的なキャラがそろってるのは当然なんですが、今回ご紹介したいのはダンセイニ側のキャラ。そのなかでも特に注目したいのは「ポラック・メルロ」という女キャラなんですね。
ポラックは敵なのでサングリアル軍を攻撃してきます。夢中で読んでる最中はサングリアル側に感情移入しているので「なんなんだよこの敵!」という憎々しい思いだったんですけど、読み終わってふと考えてみると、ダンセイニ側にも事情があって戦争をしているわけです。主人公ヴラマンクがサングリアルを勝利に導こうと努力しているのと同じく、ポラックもダンセイニ軍を勝利に導くためにがんばって戦っているんですね。
ヴラマンクが「サングリアル国王としての責任と誇り」をもって戦っているのと同じく、ポラックも「ダンセイニの軍人としての責任と誇り」をもって戦っているわけです!
そう考えると、なんて魅力的なキャラなのだろうと、どんどん好きになってしまいました。
けっしてポラックが巨乳だから好きなのではないので、そこは誤解のないようにお願いします。巨乳だから好きというわけではないです。よろしくお願いいたします。
複雑な馬上戦闘も噛み砕いて読みやすく描かれていて、なおかつ魅力的なキャラクター中心に描写していて、軍記ハイファンタジーに慣れていない層も、本格派を求めている層のどちらにも楽しんでもらえそうな良い作品でした。
ツイッターの「幻想水滸伝っぽい作品書いてます」という触れ込みに釣られて読んでみたわけですが、とてもそれっぽい感じを表現できていたと思います。内政面の考察や、紋章間のパワーバランス、オーバーパワー同士の睨み合いなどがしっかりしていて、世界観の整合が高水準で整えられていたなーと感心しきりでした。。
個人的にはキャラクターがもう少し個性的だと良いかなと思いました。主人公以外は尖った感じに見えない面がある気がします。もっとキャラは喋ったり暴走して、らしさを前面に出した方が魅力が引き立つような感じもします。
1部完時点での感想でしたが、2部以降の展開も楽しみにしています。
実際のところ外見的には老いていないのですが、国の危急を前にして立ち上がった歴戦の王の姿に胸を躍らせる“王道”ファンタジーでした!
最後のギリギリまで追いつめられ続ける展開に手に汗を握り、最後の逆転に驚き喝采を送ること間違いなし!
皆様も是非読んでください!
以下感想です。
あのキャラの設定とかデータ良いですよね! 自分もキャラの設定とか細かくメモりたくなる習性が有るので非常に楽しく拝見させていただきました。成長度が実に面白いですね。王様、もう大分育ってる筈なのにCとかのが大分あるってことは今後益々伸びていくということなのか、それとも今のステータスがそもそも全盛期ではないということなのか(多分後者ですね)。この先の話で力を取り戻していく王様の姿も気になります!
戦争を題材としている分、この小説には戦における最も重要な部分、即ち『平時の備え』を確りと描いている。戦いとはすべからく始まる前に決まるものであるが、その辺りの軍備に関して濃厚且つ現実的な知識に基づいた描写が素晴らしいと思う。
更に、この作品はファンタジーである。華印といった空想的な要素を、確固たる現実味を持たせるほど練り上げて、戦争に違和感無く混ぜ合わせ、その上双方を生かしきっているのは正に驚愕の一言だ。
加えて、戦争では人も死ぬ。ありふれた英雄譚《ボーイミーツガール》では無い、暗い展開も含まれている。だが、それでこそだ。彼は王であって英雄ではないのだから。
剣と魔法、そして政治の物語。読まずに寝るには、勿体ないぜ?
設定がしっかりしている作品というのは好きです。作者がしっかりと心をこめているのだとわかりますし、滅茶苦茶な方向に進むことが少ないですから。
ですが、その小説が読みやすいのか?面白いのか?それは別の問題です。
その点この作品は『設定資料集』ではなく、設定を元にして作品自体が動いていますし、なにより先が読みたくなります。
馬術や槍術についても、解説文ではなく自然と描写されていてすらすらと読めました。
それと華印です。これがなければなにかいまひとつ物足りない作品になってしまったと思います。魔法のない、時代小説よりのファンタジーもいいですが、この独特の華印という設定によって興味をそそるものになっていると感じました。
途中ですが、レビューをさせていただきました!
(ちょっと改稿させていただきます。星の数はそのままで……)
この作品には、読者の目を引く華があります。
フランス語を主体とした独自のネーミングにも、センスが光ります。
それから、文章そのものの配置。
実はWEB小説において、「改行の数」「空白の多さ」「一話分の容量」は結構重要で、そこもよくお分かりになっているなぁ、という印象があります。(紙媒体想定そのままの投稿スタイルで、損している作家さんは恐らく多いです)
何せ、画面というものは読みにくい。光を制御してたって、ブルーライト遮断シート貼ったって、読みにくい。
純白と黒は(一見読みやすいようですが)、コントラストが強すぎて長時間の読書には向いていないのです。
(実際、大概の小説には、クリーム色に近い白、キンマリ、という用紙が使われています。同人作家さんにはお馴染みの製品かと)
そこを見越して、改行と空白を多めに、容量を控えめに、すると、読みやすいWEB小説になります。
逆にやりすぎるとケータイ小説のような冗長さが出てしまうのですが、こちらの作者さんの配置は絶妙で、素晴らしいなと思いながら読み進めておりました。
文章表現そのものの読みやすさと相まって、倍率ドン、さらに倍、であります。
長い眠りについていた王が、平和ボケした民衆に発破をかけて国を立て直そうというアイデアも面白いですし、登場するキャラクターは魅力充分。
必要な説明がされているのに表現が巧みで軽く、恐らくライトノベルしか読まない読者にとっても読みやすい。同時に、しっかりとした骨太の設定を認識できるぶん、正統派小説を好む読者も満足できる。
若干、戦術武器その他ツールや生物学的反射において、???という部分がありましたが、目をつぶっても面白いと思える魅力的なお話でした。(逆にそこが埋められれば完全無欠になりそう)
今後の更新も楽しみにしています。
まず、設定の奇抜さに拍手を送りたいです。
考えそうで皆がおそらく敬遠していたであろう、
主人公本人が眠りで時間を超えていくという設定。
これはかなり素晴らしいと思います。
なぜなら、まず、現在どうなっているかを、
何も知らない読者がヴラマンクと共に理解していける。
そして、どうなったかをワクワクして読める。
逆に敬遠するであろう理由は、扱いが難しい。
下手をすると読者が置いてきぼりになりやすいからです。
しかし、そこも計算の上で進めている節がある。
そして、魔法のような概念がありながら、
かなりリアリティを詰め込んでいると思います。
まず、戦闘。剣術の戦闘ですが、シーンを想像しやすく、
また、おそらく著者もある程度やったことがあるのかな?
と思わせるリアルさを感じました。(突きの腕の伸びなど)
私もドイツ剣術を体験で受けてはいましたが、
何かしら経験していないと分からない細かい所も、
さらりとわかりやすく描かれているように思います。
さらに、王政・国教などのリアル追求。
著者は実在の西欧中世をきちんと調べていると思います。
(これは私が西欧中世研究会に所属しているので、
なんとなく詳しくなったため、たまたま気づいたのですが)
騎士としての在り方や、王政の運び方、
国教のあり方と腐れ具合(笑)。
農民が養える騎士の数や民の数、
調べた上で、結構プロット練って組んでますね!
それがきちんと為されているからこその、
繊細な描写や魔法表現が光っていると思います。
こちらも目を離せませんね。
ゆっくりと先を楽しませて頂きます!
宿敵との戦いを終え、眠りについた王が目覚めたとき、90年の歳月が流れていました。かつては精強だった自国は見る影もなく、数年先に戦が予見されているというのに平和ボケしている始末。
兵力は1/10まで落ち込み、信頼してくれる者すらわずか数名。国内にも王を疎む者が多い。そんな状況のなかで、圧倒的な力を持つ敵国に備えなければいけない。
控えめに言っても詰んでいる状況です。そんな絶望的な状況を覆すため、王は奔走します。しかし、そう簡単にことが運ぶわけもなく……。
つねにギリギリの綱渡りをし続ける王(主人公)から目が離せない、そんな作品です。著者はカタルシスのなんたるかを理解しているように思われるので、おそらく主人公は勝利するでしょう。しかし、それはどうやって? 何が起こりそうなるのか?
私にはこの状況から主人公が逆転する未来が見えません。だからこそ、どのような物語が展開されるのか期待に胸が高鳴ります。強大な力を持つ“不滅王”と、その配下たる7人の不老の将に挑む、“スリーピング・マジェスティ”。彼は、どのような逆転劇を私たちに見せてくれるのでしょうか。それが楽しみでなりません。