親しみやすいファンタジー

(ちょっと改稿させていただきます。星の数はそのままで……)

この作品には、読者の目を引く華があります。
フランス語を主体とした独自のネーミングにも、センスが光ります。
それから、文章そのものの配置。

実はWEB小説において、「改行の数」「空白の多さ」「一話分の容量」は結構重要で、そこもよくお分かりになっているなぁ、という印象があります。(紙媒体想定そのままの投稿スタイルで、損している作家さんは恐らく多いです)
何せ、画面というものは読みにくい。光を制御してたって、ブルーライト遮断シート貼ったって、読みにくい。
純白と黒は(一見読みやすいようですが)、コントラストが強すぎて長時間の読書には向いていないのです。
(実際、大概の小説には、クリーム色に近い白、キンマリ、という用紙が使われています。同人作家さんにはお馴染みの製品かと)
そこを見越して、改行と空白を多めに、容量を控えめに、すると、読みやすいWEB小説になります。
逆にやりすぎるとケータイ小説のような冗長さが出てしまうのですが、こちらの作者さんの配置は絶妙で、素晴らしいなと思いながら読み進めておりました。
文章表現そのものの読みやすさと相まって、倍率ドン、さらに倍、であります。

長い眠りについていた王が、平和ボケした民衆に発破をかけて国を立て直そうというアイデアも面白いですし、登場するキャラクターは魅力充分。
必要な説明がされているのに表現が巧みで軽く、恐らくライトノベルしか読まない読者にとっても読みやすい。同時に、しっかりとした骨太の設定を認識できるぶん、正統派小説を好む読者も満足できる。
若干、戦術武器その他ツールや生物学的反射において、???という部分がありましたが、目をつぶっても面白いと思える魅力的なお話でした。(逆にそこが埋められれば完全無欠になりそう)

今後の更新も楽しみにしています。

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