王政・騎士に目を向けた、魔法がありながらのリアルさ
- ★★★ Excellent!!!
まず、設定の奇抜さに拍手を送りたいです。
考えそうで皆がおそらく敬遠していたであろう、
主人公本人が眠りで時間を超えていくという設定。
これはかなり素晴らしいと思います。
なぜなら、まず、現在どうなっているかを、
何も知らない読者がヴラマンクと共に理解していける。
そして、どうなったかをワクワクして読める。
逆に敬遠するであろう理由は、扱いが難しい。
下手をすると読者が置いてきぼりになりやすいからです。
しかし、そこも計算の上で進めている節がある。
そして、魔法のような概念がありながら、
かなりリアリティを詰め込んでいると思います。
まず、戦闘。剣術の戦闘ですが、シーンを想像しやすく、
また、おそらく著者もある程度やったことがあるのかな?
と思わせるリアルさを感じました。(突きの腕の伸びなど)
私もドイツ剣術を体験で受けてはいましたが、
何かしら経験していないと分からない細かい所も、
さらりとわかりやすく描かれているように思います。
さらに、王政・国教などのリアル追求。
著者は実在の西欧中世をきちんと調べていると思います。
(これは私が西欧中世研究会に所属しているので、
なんとなく詳しくなったため、たまたま気づいたのですが)
騎士としての在り方や、王政の運び方、
国教のあり方と腐れ具合(笑)。
農民が養える騎士の数や民の数、
調べた上で、結構プロット練って組んでますね!
それがきちんと為されているからこその、
繊細な描写や魔法表現が光っていると思います。
こちらも目を離せませんね。
ゆっくりと先を楽しませて頂きます!