★★自身の生き残りを賭けた他者との信頼の上で成り立つゲーム

まず、ゲームの参加者同士による血みどろ 殺し合いを期待しているなら読むべきではない。これはそういう類の物語ではない。ジャンピング・ジャックという不可思議な存在を追いかける少年少女たちのミステリーであり青春小説である。

読み進めるうちに結末が予想できてしまうのがやや勿体ないが、それを抜きにしても、多感な高校生という存在をみずみずしく描き、ジャンピング・ジャックのゲームの真相を解き明かしていく筆力は素晴らしい。

視覚や心情だけの薄っぺらい描写ではなく、五感をフルに刺激し、臨場感を与えることに成功している。書籍化されていても文句なしの作品である。

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