新時代の学術系ファンタジー!この小説が貴方のファンタジー観を変える!

 大学院とファンタジーを組み合わせるという発想がすごいですね。おそらく著者の得意分野をいかに小説に活かせるか考えた末のアイデアなのだと思います。真新しさという意味でも意外性という意味でも、突出した作品です。
 そして、この作品を支えているのは、実体験にもとづいたと思われる綿密な描写の数々です。院生のリアルな生活は、物語のなかで生きるキャラクターたちを生き生きと、鮮明に描いています。主人公と教授のやりとり、主人公とその院生仲間との会話、それらは大学院に籍を置いた方ならば「あるある」と頷けるものなのではないでしょうか。
 また、私が心をくすぐられたのは白魔道士や黒魔道士、赤魔道士といった用語です。こういった懐かしい用語を配置する遊び心がにくいですね。
 
 魔術と学術を織り交ぜた学術系ファンタジー小説、その行く末を完結まで追わせていただきたいと思います。

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