魔法大学院第三呪術研究室には研究費がない

作者 トクロンティヌス

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★★★ Excellent!!!

 架空の異世界の大学の架空の研究者たちが架空の魔法を研究している、というそれだけの話。それなのに、多少なりとも研究の味を知った人間にはとてつもなく面白く「濃い」。

 
 政府の方針に触れることなどまずないような研究をしていても、研究費の多寡は社会や政府の要請と切っても切れない関係にある。ある特定の分野の研究費がひあがり、結果としてその分野の研究が大きく停滞することなど珍しいことではないのだ。
 そう考えると、とてつもなくリアリティを持つタイトル——なにしろ研究費が「ない」のだ——であり、中で語られる物語もタイトルを裏切らない。

★★★ Excellent!!!

こういう作品を読みたかった。
大学に通っていたころを思い出す。
とはいえ、自分は文系だったので、実験といったものに縁はなかったのだが、でも、こういう雰囲気はあった。
ゼミの教授とのやり取り、ゼミ生とのやり取り。
何もかもが、みな懐かしい。

★★ Very Good!!

魔法の話なのにふわっとした感じでは無くて、まるで本当にそんな現象があるかのような書き方が面白かったです。
気になったのは、人物に対する描写が少ないこと。
女性の外見に対する描写はあるのに、男性に対するものは殆ど無く、ある意味では妄想を掻き立てられ、困惑もしました。
主人公の名前が出てこないのは意図的なものなんだと思うのですが、出来れば彼女が彼の名前をよんでいるシーンを見たかったと思いました。

★★★ Excellent!!!

とても面白かった。読んでいてひっかかるところが一つもなく、完成度が高い。
文系でも十分に楽しめるよう丁寧に書かれているが、生物化学の知識、中でもDNAや遺伝子組み換えの知識があるとより楽しめるだろう。
魔法世界に大学の研究室を持ち込んでいるのだが、魔法を研究するというファンタジーを見事に現実の研究風景と一致させ、リアルさを出している。本当にこんな研究室があるような気がしてくるほどだ。
唯一タイトルがもったいない。発端は確かに研究費がないことなのだが、物語の根幹には関わっていない。もっと適したタイトルがあると思う。
それにしても、本当に面白かったなあ。
※「第四十一話 学位記授与式」まで読了

★★★ Excellent!!!

主人公は天性の研究者だと思う。けれど立ちはだかる課題は彼にとっても決して易しくはない。魔法は決して都合よくできていないし、大学や国のシステムだってそうだ。それでも、なにがあっても研究に奔走し続ける主人公に、それを支える周囲の人々に惹かれずにはいられなかった。

★★★ Excellent!!!

論理的に謎が解明されてゆくSFの醍醐味。
院生生活、大学での研究の様子のリアリティ。
世界全体を巻き込むサスペンス。

とても素晴らしい生命科学SFでした。
コドンやノックアウトマウスなど扱われているアイデアや、研究の進み方のリアリティから著者も生命科学の研究をしたことがあるんだろうな、と思います。こういう専門知識を持ってる人にガンガンSFを書いてほしい。

それからテッドチャンの短編「72文字」がSFなんだしやっぱりこれもSFで良いような。



★★★ Excellent!!!

博士号を取るのは難しい、というのは周知の事実です。
こと、この作品に関してはそれをしっかりと書いておられます。
即ち、研究とはこのようなものである、と。

私も理系の端くれとして、理系小説なり何なり書いている身分ですが、この作品には思うところがたくさんあります。
しかし、レビューに目を通しておられる人たちならば気付いたかもしれませんが、この作品の素晴らしいところはリアルさよりむしろ、お話として面白いところなのです。

研究を題材に小説を書くのは難しいです。
私もそれを書こうとして、結果研究そのものを書くのではなく『こんな面白い理論があるよー』という理論紹介の小説にしかなりませんでした。

この小説では研究そのものを題材にしてあります。
そしてきちんと面白いところが、大変素晴らしいところなのです。

些か大袈裟かもしれません。しかし、これからの期待も込め、私からは星3つをつけさせていただきます。

★★ Very Good!!

「研究とは」という命題をファンタジーの形で表現した作品だと思いました。

第一部だけ読みましたが、科学の謎解きだけじゃなくあわーい恋愛要素もあり一気に読み切れました。

第二部はポスドクファンタジーなんでしょう?主人公の明日とこの世界の未来が私、気になります!

★★★ Excellent!!!

ただただ素晴らしいです。魔術の理論構築に目を奪われる人が多すぎて逆に失笑します。こんなにエレガントに人間の美しいエゴを描いた作品には、なかなか遭遇できません。

★★★ Excellent!!!

研究職ってどんなものだろう?
そう思っている人にお勧めしたい作品でした。

地道で地味だったり上手くいかなかったりして、でもやっぱり謎は解きたいし、もっといいものを作り出したいと思う。
研究ってたのしい!

★★★ Excellent!!!

大学教授の給料の安さが,先日話題になっていました.
研究者の求人は少なく,そのほとんどが3~5年限りの任期付きです.研究者は少ない給料で,一生職を失う不安と戦い続けています.
それでも,研究者という人種は,研究せずにはいられない.いったい何が彼らを研究に駆り立てるのでしょうか.

本作において,主人公は,研究費がない,論文提出期限までの時間もない,もちろんその後の職も決まっていない,そんなどうしようもない状況から出発します.

しかし,いったん研究を始めてからというもの,主人公はそんな絶望的な状況も忘れ,指導教官に博士号のことも考えなさいと諌められるくらい,研究そのものにのめり込んでいきます.

最初は研究課題の面白さから.

そして徐々に姿を表す謎に惹かれて.

それはたいていモニターに映る文字列だとか,微細な構造のゆらぎだとか,絵面としてはそんな劇的なものではありません.でもその背後に巨大な何かが見える.それが垣間見えた瞬間の,背すじがゾクッとする興奮.ひとたびそれを味わってしまえば,もう次の興奮を求めて研究にのめり込む以外にないのです.

クライマックスは博士論文の公聴会.巨大な敵を倒して世界を救うわけでもなければ,大恋愛が結実するわけでもない,絵面としてはこれまた地味なものですが,こんなにエキサイティングでわくわくするクライマックスも珍しいでしょう.

ぜひ,主人公と一緒に研究の面白さを味わって欲しいと思います.

★★★ Excellent!!!

この作品では、世の学生が修論・卒論の作成に苦しむのはツンデレ巨乳美人助手がいないためである、ということを示唆している。
とくに論文が完成に近づくほどデレてゆけば、理系学生のやる気は天元突破することだろう。
ただし途中に最低一度のポロリを必須とする。

★★★ Excellent!!!

 わからないことを試し、試した結果から新たな可能性を探り出す。考察をしながらも足りない部分を補強していくために実験を重ねていく。それが研究の楽しさですよね。
 この作品にはそのような理路整然とした知的な楽しさが詰まっています。
 魔術的な単語の多さや理論体系の巨大さはとっつきづらい面もあるでしょう。しかし、そんな油断すれば頭からするっと抜けていきそうな小難しさも大学時代を思い出して懐かしい気持ちにさせてくれました。
 面白かったです。

★★★ Excellent!!!

大学研究とファンタジー要素が組み合わさっていて、面白かったです。学生時代の研究室生活を思い出しました。
現実の研究を物語にしても、事実が邪魔をして、なかなか起承転結を構成できない気がします。ファンタジー要素を上手く使って、研究物語を作品に磨きあげた著者の手腕に脱帽しました。
今後のご活躍を楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

実験と、その進捗報告の繰り返しの中でどんどんと深まっていく、研究テーマと主人公の周囲の人物たちの謎と影、その解明がとてもテンポよくて、一気読みしてしまいました。

研究って、自分であてはまるピースを探すパズルのようだな、と思っていたのですが、その面白さが魔法研究をテーマに親しみやすく、ぎゅっと凝縮されています。

さらに、生物方面の学生さんなら思わず噴き出す&引き込まれる&身につまされるネタがこれでもか、というくらいに満載。

ひとまず完結していますが、主人公の今後や、他の研究室、学生たちの話もぜひ読みたいです。あと田中さんかわいい。

★★ Very Good!!

理論的に魔法を研究しているのがすごく面白かった。
現実に魔法があれば(なんか変な言葉だが)、きっとこうやって日々研究室であーでもないこーでもないやっているんだろうなぁ~
このあとも、知りたい。というか、ホントに論文発表して終わってしまった!!
そこが少し寂しい。

★★★ Excellent!!!

素晴らしい作品でした!現実の科学研究でも用いられているような手順を踏んで、魔法の謎を解き明かしていくスタイル。(いわゆるハードSF)その緻密で論理的な流れはまるで、実際に博士課程にいる(ないし既に博士号を取得している)人が書いたかのよう。理系の人たち、特にバイオ(それも生化学系)出身なら、間違いなく楽しめる作品です。

これでひとまず完結ですかね・・・?もしこの先が書かれるとしたら、これから待ち受ける社会の大混乱、マリス博士の話、主人公と周りの人とのこれからの関係、どのように描かれていくのか、楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

与えられた課題に取り込んでいるうちに新しい謎ができてきて,それを解決することで新たな重要な発見にたどり着くという研究のプロセスが描かれている数少ないWEB小説ではないだろうか.

研究対象があまり注目されていない魔法というのも王道だけが研究ではないという主張を感じる.

最後の公聴会に至るまでに発表の内容が一貫しつつも洗練されて,なおかつ完成度が上がっていくという様子を見ることができ,研究者として成長していく見ることができ感動的である.

主人公がここで燃え尽きることなく,この先も新たな重大な発見をできるように祈る.

★★ Very Good!!

 大学院とファンタジーを組み合わせるという発想がすごいですね。おそらく著者の得意分野をいかに小説に活かせるか考えた末のアイデアなのだと思います。真新しさという意味でも意外性という意味でも、突出した作品です。
 そして、この作品を支えているのは、実体験にもとづいたと思われる綿密な描写の数々です。院生のリアルな生活は、物語のなかで生きるキャラクターたちを生き生きと、鮮明に描いています。主人公と教授のやりとり、主人公とその院生仲間との会話、それらは大学院に籍を置いた方ならば「あるある」と頷けるものなのではないでしょうか。
 また、私が心をくすぐられたのは白魔道士や黒魔道士、赤魔道士といった用語です。こういった懐かしい用語を配置する遊び心がにくいですね。
 
 魔術と学術を織り交ぜた学術系ファンタジー小説、その行く末を完結まで追わせていただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

生物系院生たちの艱難辛苦の記憶と親近感をくすぐってくる。ポジ/ネガコン、「呪文」構造解析、超解像イメージング、インターカレーター、ドミネガ、フレームシフト、実験動物を用いたモデル実験に目の色の形質による評価。実験系確立のために数週間空振りしたり、幸運を味方にしてポジティブデータを得たり。
地方国立大のマイナー分野研究室での描写は(ちゃんとドラマチックにしつつも)写実的でどこをモデルにしているのかと疑うレベルだし、一方で魔法/呪術の考証はよく練りこまれていて十分な説得力とSF的魅力まで持つに至っている。

ただ、ここまで想定読者層狭めるならいっそ(武闘派巨乳ツンデレヒロインや蛇足的ハーレム展開といった)ラノベ成分入れない方が突き抜けてて良かったのではとも思い少し残念。なぜなら、めちゃくちゃ面白いのにラボで周囲に勧めにくいからだ。そういうのが苦手な方(カクヨム開く人なら大丈夫かな?)は、ちょっと目を瞑って読み進めて欲しい。それだけで読むのを止めるのはあまりに惜しい。
この物語においてはそれらも不可欠な要素として編み込まれているので難しいと思うが、そっちのバージョンもあれば是非読みたい。

41話(完結?)更新後追記。
対ヒト呪術という重要性の低下した研究分野としても、解呪研究のプログレスとしても、また、マイナー分野を歩む博士学生のキャリアパスとしても、実に痛快な結末だった。ポスドクとなった「僕」の次なる活躍に期待。

★★ Very Good!!

研究対象は「魔法」。それも人間に対する「呪い」なんていうファンタジックな題材です。
しかしタイトル通り、主人公が直面しているのは「研究費が無い」という共感しやすい現実。

作品自体は研究者の自伝的で、専門用語が飛び交いやすいので軽く読むには適さないと思われます。その分、設定を小出しにしながら説明してくれるのでゆっくり時間を掛けて読みたいところ。

提出期限まであと約一年半。この世界の常識となったある魔法に関する研究は果たして無事に進むのか。
研究時の静かなわくわくというか、新発見への期待を感じさせてくれる作品です。

★★ Very Good!!

魔法の、研究に特化した作品
難易度が高くて自分には書けないな、と思いました。
研究者なら共感をできるのでしょうか。
難しい作品だ、と思う反面、深い面白さがあります