再読です。
圧倒的な医療知識と豊富な語彙力によって描かれた本格学園医療ミステリー。これが処女作とはとても思えない高度な筆力に感服します。
一見、難解そうな文章でネット小説を読みなれた方は尻込みされるかもしれませんが、理路整然として尚且つ独特のリズム感を持っているので、慣れてくると心地よささえ感じます。前半はカラオケのシーンなど作者様の嗜好や人柄が感じられる爽やかな青春小説としても楽しめます。
もちろんミステリー・サスペンスとして秀逸。後半からクライマックスの展開は実にハードでスリリングでした。
深い○○○が胸を打つ真相編。からのエンディングは心地よい読後感をもたらせてくれます。登場人物らが幾多もの苦難や宿命を乗り越え築いたものは、まぎれもなく純愛・友情・そして○○の絆だと思います。
多くの方の目に触れて頂きたい力作であり秀作です。抜群の読み応えを保証します。
穏やかな日常、穏やかざる日常、それを巧みに組み込んだ物語だと思います。高校生たちのイマドキな恋愛なのかと思いきや、中盤から一気にその色を変えてミステリーがぐっと迫ってくる。ミステリーの部分が色濃くなるとあとは雪崩れ込むように読み込みました。丁寧な文章綴りは紙媒体の小説を読んでいるようでした。非常に優れた文章力と裏打ちされた医療知識によるミステリー展開は秀逸そのものです。
長い話はたちょっとなと躊躇されている方、少し背伸びして手に取ってみてください。すべてを読んだとき、その章タイトルにも唸るでしょう。あなたの脳内で静と動がきっと錯綜するーーこれはあなたを強く刺激する物語ときっとなることでしょう。
非常に面白いです。星を3つ超にしたい。今日時点で、既読者の3分の1強がレビューし、その殆どは星3つの評価という事実が、それを証明してします。
医療サスペンス活劇という言葉が有るかは知りませんが、そういう作品です。読んでも面白いですが、ドラマにすると面白いだろうなと思いました。
その点では、海堂尊先生の作品に通じるものが有ります。また、人間関係は東野圭吾先生の雰囲気。つまり、夷也荊さんの意見に賛成です。私は、登場人物紹介を読んで、”白い巨塔”路線かと想像したのですが、良い方向に予想は裏切られました。
作者は、書籍で読まれることを念頭に置いているなぁと私は感じるのですが、後半が盛り上がるように構成されています。四章からは一気読みです。長島スパーランドのジェットコースター並みに、活劇風の展開となります。三章までで7〜8万字あると思いますが、それを堪えて四章まで辿り着いてください。
また、各章の末節に別エピソードが編み込まれているのも、洒落ています。ちゃんと時間軸を合わせて本筋に収斂させるのは見事です。
最後に。色彩の言葉に対する作者の拘りを感じました。
初めは文章が固く思えたのですが、途中から一気読みでした。文系の小生でも解説が分かりやすく、語彙も豊富で、とてもこれが処女作で、メモで出来上がった作品とは思えませんでした。
理系的な理詰めは東野圭吾さんのようで、医療系とヒューマンドラマは海堂尊さんのようでした。しかも主人公は完璧な少女で、天才なのですが、「天才」を書くには作者も「天才」でなければ書けないと思いました。それだけ作者が「天才」か、もしくは非常に熱心に勉強してこれを書き上げた「秀才」であると思います。
しかも、この分量です。ここまで書くには、とてつもない時間と体力と、知力を使われたことでしょう。作者が「努力の天才」であることは間違いないのではないでしょうか。
なぜ星は三つまでしか入れられないのでしょう? この小説に、星三つだなんて考えられません。ではどうすれば良いのか。それは多くのかたにお読みいただいて、千でも二千でも、いえ、万単位の星で飾ることだと思います。
物語の詳細は概要をご覧ください。それよりも、このレビュー欄で書きたいことが一杯ありすぎて、混乱しております。一気に読了いたしました。拝読しながら、レビューにどんな魅力な点を書かせていただこうかと、途中までは冷静な自分がいました。ところが、読み進めていくうちに、他のかたへ何かをお伝えしたいと思いながら読んでいた自分が消えてしまい、どっぷりとこの物語の世界へつま先から頭まで沈み込んでおりました。こんな経験は滅多にありません。それほど感嘆すべき小説なんです。「面白い」「凄い」という言葉では表現できない。ああ、自分の語彙の無さが歯痒い。プロ作家の作品でも、これほど満足できる小説にはまず当たらない。それほどパーフェクトな小説です。
医療関係は確かに専門家並みの知識を駆使され、リアリティ溢れております。ミステリーとしてのエンターテイメント性も、既存の小説を遥かに超えています。でも、ここまで登場人物の一人ひとりに「血を通わせる」ことができる作家は、そうはいないと思われます。キャラクターに血を通わせるための構成力があってこそなのは、言うまでまでもありません。
混乱しながらも、これだけは言わせてください。今作を読まないのは絶対にもったいない!