王道ファンタジー。描写が繊細で、彩りに溢れています

王道を行く戦記物、そして冒険ファンタジーです。

文章についてですが、情景描写が繊細で、どの場面でも割と挿入されてきます。
なので、書かれてある文章を頭に思い浮かべた結果、街や自然の景色が、全て鮮明に描けます。脳内で、背景が真っ白だった試しがないです。
何よりそれを表現する語彙力の豊富さが本当に凄まじいです。勉強用の指南本としての価値さえあるのではないでしょうか。

シナリオも、主人公の騎士とお姫様のヒロインが争いに巻き込まれつつ、出会いや別れを繰り返します。
チート一切なしで切り結ぶ(主人公担当)こともあれば、この世ならざる奇蹟で超常の敵に対抗したり(主にヒロイン担当?)、時には戦争そのものに巻き込まれたりとファンタジーのいいとこ取りです。
主人公達以外のキャラも魅力的です。
各章色んな視点で、話が展開される群像劇的な面もあります。だからこそ、時に訪れる離別シーンが物悲しくも、物語の素晴らしい彩りに思えます。敵味方、容赦なく人死にが出るのもポイントです。

本格的過ぎて、転生ものや最強系といった流行りの要素が無いのですが、文学色感じられる作品を好まれる方は、きっと気に入ると思います。

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