謎の陰陽師と旅の白拍子、切ない平安ロマンス・ファンタジーです

物語は、貴族の前で舞を披露した夜、白拍子の女性が鬼に襲われるところから始まります。
あわやと言うところで助けに入るのが、謎の陰陽師でして、彼には大きな秘密がありました。
鬼に付け狙われるのを守って貰うため、白拍子は陰陽師との取引に応じるのですが……。

タイトルから漂うレーティング感ですが、そこは陰陽師の術で極めて健全に描かれるので、その手の描写が苦手な方も安心して読むことができます。
私も安心して読めました。

ヒロインを追う鬼を退けるため共に過ごし、絆を育ていく二人は、ひたすらにロマンチックです。想い合うようになる過程がしっかりと書かれていて、二人を結ぶ愛情にも納得感があります。

陰陽師側の事情がある意味凄すぎて、微妙に浮世離れしている感があったりもしますが、ヒロインがきちんと一般的な感覚の持ち主なので、展開に唐突感もありません。
ある意味では平安物らしい、神や鬼が連なる世界観も、主人公達の愛のエッセンスになっていますね。
やがて子宝に恵まれて、鬼との対決があって……。
そこからが更に怒涛の展開があります。

何と言うか、ヒロインが真面目で庶民的な感覚を持っているのが分かるからこそ、尚更大変だなあと思える展開ですね。
苦難を越えてもまた苦難が続くと言いますか。

愛は尊さと辛さが表裏一体なんだなあと、何度も思わされる作品です。

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