風の音が聴こえて来ます

中世的な世界観かと思いきや、それを鮮やかに切り裂く、近代的な文明の利器。不思議な精霊と、メカニカルな人工物の共存する近現代ファンタジー。

それが無理なく透き通って、一個の世界として成立するのは、風の音まで聴こえてくるような緻密で繊細な描写と、説得力のある設定。
木材や鉱石に至るまで、この世界に確かに息吹いているのを感じます。

そこに生きる、人の心も。

途中、衝撃の展開により臓腑をえぐられるような衝撃がありますが、物語を紡ぐにあたり、重大な意味を為すことになるでしょう。

読み、ふと眼を現実世界に眼を戻しても、まだそこかしこに、火の、光の、風の精霊がくるくると踊っているような気がします。

ただただ、叫びたい。
フェーレス!!

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