人の感情こそ、赫赫たる地獄の底に満ちるもの也。

この作品を読んだ時に、どうも句読点の位置が気になりました。
読んでいてはたと気づいたのですが、どうも音声に近い打ち方なんですよ。語られる言葉、あるいはそういった伝承のようなもの……。そう感じた時、目蓋の後ろにこの世界が描かれました。
恨み、つらみ、苦痛……どろどろと抽出され、凝縮された悪意を見て「面白い」とのたまう彼。1人延々と嵐のように声を出す彼。あるいは唯々諾々とあるがままを貫く少女……。
語り部が口を閉じた時、まるで憑き物が落ちたかのように「文章を読んでいた」ことを思い出す作品。
別世界じみた要素が多いこともあり、私は平気でしたが……「素質のある方」は「彼」のように魅入られるかもしれない。
そんな作品です。

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