概要
消えかけた記憶を、まだ憶えている土地へ運びます。料金は、あなた払いで。
残響引越センターは、土地に残った記憶を運ぶ会社だ。憶えている人がいなくなればそれは消え、まだ憶えている土地へ移す。取り壊される団地、廃校、河川敷。作業員の藤代灯は、誰の記憶にも残らない体質を職能にして、六年間その仕事だけをしてきた。
ある夏、運んだはずの荷が移送先で次々に消えた。灯と記録係の宮下珠緒が調べるうち、移送先の町の住民が、人の名前だけを少しずつ忘れていることに気づく。日付も金額も道順も残る。しかし、名前だけが消える。
社長の轡田は否定しなかった。嘘もつかなかった。ただ、自分の計算は正しいと言った。
誰も悪くない。それでも全員から消えてゆく。金庫の底には、二十年前の帳面から抜き取られた三十二枚があった。
ある夏、運んだはずの荷が移送先で次々に消えた。灯と記録係の宮下珠緒が調べるうち、移送先の町の住民が、人の名前だけを少しずつ忘れていることに気づく。日付も金額も道順も残る。しかし、名前だけが消える。
社長の轡田は否定しなかった。嘘もつかなかった。ただ、自分の計算は正しいと言った。
誰も悪くない。それでも全員から消えてゆく。金庫の底には、二十年前の帳面から抜き取られた三十二枚があった。
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