概要
――人族と魔族が憎しみ合う混沌の時代。
約千年もの間、魔族と人族は、不毛な争いを続けていた。
そんな憎しみ合う両者の間に生まれた者は半魔人(半魔)と呼ばれ、忌み嫌われる存在。
アルテナもそう、――嫌われ者の半魔だ。
抗うことのできない彼女の運命を変えたのは、世界一の魔法使い――
『ロリエッタ』との出会いだった。
時が過ぎ、ふたりの住む森に、この国の第七王子である『ブラント』がロリエッタに魔法を教わるため、やって来る。
普通では決して出会うことも話すことすらなかったはずの『半魔の娘と王子』とが、出会ってしまった。
そして、ロリエッタの厳しい修行の中、互いに高め合う存在になり、やがてふたりは徐々に惹かれ合うようになってゆく。
だが、運命はそんな二人に残酷な舞台を用意し、悲劇の幕が上がってしまう……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!私はまだ『花冠』の意味を知らない
私はこの作品を読んでいて、「花冠」という題名の意味をずっと考えてしまいました。
アルテナは半魔だから嫌われるのではなく、誰よりも愛することを諦めなかったからこそ傷ついてしまう少女なのだと思います。そして、そんな彼女の前に現れるのが、永遠を生きる呪われた魔女ロリエッタと、自分を凡人だと思い込んでいる王子ブラント。この三人の関係がとても面白いです。
特に印象的だったのは、強さの描き方です。魔法が強い、剣が強いという話ではなく、それぞれが心の傷を抱えながら前へ進もうとする姿そのものが強さとして描かれているように感じました。
また、龍が残した謎や千年戦争の真相など、壮大な設定があるのに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!半魔の少女が生きることを知り、愛を知っていくファンタジー作品
最大の魅力は、主人公アルテナの成長です。
過酷な過去によって心に深い傷を抱え、自分自身を受け入れられずにいた
少女が、世界一の魔法使いロリエッタとの出会いをきっかけに少しずつ前
を向いていく姿が丁寧に描かれています。
ただの師匠と弟子ではなく、家族にも似た温かな関係性が作品全体を優し
く包み込んでいます。シリアスな展開の中でもこの二人の交流が読者の心
をほっとさせてくれます。
強くなるための修行だけではなく、『生きること』を学んでいく物語になっ
ているため、自然とアルテナを応援したくなります。
物語が大きく動き出すのが第8話、第9話。
カルヴィナ王国第七王子・ブラントが、ロリエッタに魔法を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一言で言えば上質のファンタジー、なんて表現は偉そうかな。
現実の人間社会においても歴史的には混血児は双方の人種から疎まれる存在であり、それを主題とすることによってファンタジーでありながらリアリティが感じられる物語になっていると思います。異なる民族や異なる宗教の間の諍いというのは私たちの世界でも古来から現代に至るまで続いていますが、双方の起源を持つものが困難を乗り越えてその不幸に終止符を打つというストーリーなのであれば、読者にとても大きな希望を与える作品になり得るかもしれません。
あと、言葉選びと言葉運びがとても美しいと思います。作者殿は文章を書くことが本当にお好きなんでしょうね。物語のこれからが楽しみです。