概要
泣くもの、嗤うもの、恨みを遺すもの。
忘れ去られた品々は、失われた過去を、死にきれない想いを、今なお語りつづけていた。
簪、硯、匕首、封じられた古画――
彼女が追うのは、一見すれば無関係に見える小さな事件ばかり。
けれどそのひとつひとつは、やがて同じ夜へと通じていく。
小さな冤は連なり、やがて「亡国の証」と恐れられる古画と、消された歴史の真実を指し示しはじめる。
その道の先で出会うのが、大理寺司直・沈淵。
冷ややかで、鋭く、どこまでも疑わしいその男は、死んだはずの名と、亡国の夜に消えた真実をその身に深く宿していた。
刃を交え、疑い合い、ときに背を預けながら、二人はやがて、同じ真実を追う共犯者になっていく。
かつて並ぶはずだ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!古物の声が導く、静かな純愛と再生の物語
一部を読み終えた勢いでレビューを書いています。
まず、まだ謎はたくさん残っているはずなのに、読み終えたあとの読後感が、とてもいい。
この作品の中心にあるのは、事件そのものでも、恋愛そのものでもなく、聞昭が過去の傷や喪失と向き合いながら、少しずつ人との関係を取り戻していくことなのだと思います。
「古物の声を聞く」というファンタジー要素は、その物語を描くための大きな軸になっていて、その中心には沈淵がいる。
聞昭と沈淵の関係には、途中から「これは……ラブコメの波動では?」と感じて、ちょっとソワソワしながら読んでいました(笑)。
でも、読み進めていくと、どうもラブコメとは違う。
互いを認…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これはある種の「幻想的小説」の形を取って、読者に提示される物語です。
ようやく、第1部を、完読しました。
ですが、この小説のレビュー文を書く事は、非常に、難しいのです。
長大な中国の歴史を舞台にして書かれた物語であり、この小説を、上手に語るだけの、語彙力も筆力も無い、この私には、荷が重いのです。
極、簡単に言えば、中華風の衣を纏っての、ある種の「幻想的小説」の形を取って、読者に提示される物語だとしか、表現のしようが有りません。
それだけ、完成度が異常に高く、読者自体にも相当の読解力が要求されるのですから。
「小説家になろう」での『l薬屋のひとりごと』(日向夏:著)の大ヒットにより、似非宮廷物が、乱立し多数投稿されているこの時代、緻密な時代考証により、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!お静かに、封じられた過去の語りが始まります
古物の声を聞けたら、いかなる語りを聞くことでしょう。
自らは歩けず、人の手に掴まれるばかりで使われる物、それらは使われる者つまり使者として無下に扱われ、ひとたび語る機会を得たならば言いたい放題。私達は古物の声を聞けないがために気楽でいられます。
他人の声を聞けたら、いかなる語りを聞くことでしょう。
普段は饒舌なあの人の、押し殺すような語り。いつも無愛想で寡黙な彼の人の、命張り裂けんばかりの語り。私達は他人の声を聞かないがために気楽でいられます。
それでも。
お静かに。過去を語るべき時が訪れたようです。聞き漏らしてはなりません。
人は古物とは違います。語れる場所まで歩くことが出来ま…続きを読む