時代劇風の格調高さに、ライトノベルのような読みやすさが混ざった、とても面白いスタイルの小説です
キャラクターそれぞれの心理と、歴史的な骨組みがしっかり噛み合っていて、感情面の描写がとても濃いのが印象的です
モチーフもテーマも重いのに、全体に一本の筋が通っていて、読むほどに深みが増していきます
史実をベースにしながら、その隙間に作者独自の想像を丁寧に重ねていく構成は見事で、文章そのものもよく磨かれた上質な仕上がりです
思想小説・歴史劇・耽美ドラマが一つにまとまっており、読み方によっては一度で三度楽しめる作品ではないでしょうか
総じて、完成度としては間違いなくプロと並べるレベルだと思います