ここにいない貴方のための授業

中学二年生を迎えた春。
立入禁止の旧校舎を前に、少年は存在しないクラスの古びた名簿を手に入れる。紙の末尾には、手書きの文字で彼の名前が加えられていた。

同じ頃、少女は教室に違和感を憶えていた。
生徒の人数が名簿と合わない。それでいて、誰が余分かわからない。仲間の顔をした異物が息づいて、当然のように紛れ込んでいる。

余剰生徒「欠番」と「二年三組」の痕跡。
二年生を対象に巻き起こる異変の調査のため、彼らはついに禁足地へと踏み入れる。

「――授業を始めます。」

幕を開けるのは、過去の悲劇が導く痛烈な呪い。
異物は日常を緩やかに破壊する。絆はもはや形を成さない。安息が消え、猜疑の飛び交う教室で、彼らは一年を生き延びるために奮闘する。

これは、孤独と喪失を語る授業の記録。
人々はそこにどのよ…続きを読む