『桃太郎 - あいつを信じた日々』

「この学校、荒れてるそうですね」

文部科学省から派遣された“特別指導官”桃井浩志――通称〈桃太郎〉。

彼のやり方は暴力的で異常だったが、確かに成果は出た。
生徒は従い、教室は沈黙を手に入れた。そして教師たちは、目を伏せた。

しかし、一人の生徒・谷口怜央は疑問を抱く。

「先生のやり方は、本当に正しいんですか？」

過去に“桃太郎のお供”だった元教師たち。

消された声、切り捨てられた仲間、偽りの英雄譚――

谷口はすべてを知り、たった一人で立ち上がる。

正義の名のもとに繰り返される支配に、「それでも立ち向かう熱」は通じるのか。

芥川龍之介『桃太郎』を現代にリライトし、
正義と暴力、沈黙と熱を描き直す、社会派・青春・再構築ノワール。