概要
AIと“情動ログ”の進化により、亡き人や動物の記憶と感情をもとに、限りなく“本物”に近い再現体を生み出すことが可能になった。
──ただし、それを本当に「再現」できる者は、世界にほんの一握りしかいない。
16歳の玖城色葉(くじょう・いろは)。
AI構築アルゴリズム世界大会で1位を獲得した、天才女子高生。
彼女が密かに請け負っている仕事、それが「よみがえらせ屋」。
ある日届いた依頼は、亡くなった“祖母”を再現してほしいというもの。
──完璧なはずの“再現”が、静かに波紋を広げていく。
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- ★★★ Excellent!!!どこまでも優しく紡がれる、AIと人間の残滓を繋ぐ物語
天才AIプログラマーであり、上級家系のお嬢様女子高生 玖城色葉。彼女の婚約者である柊玲央。
二人はAIに記憶と人格のようなものを与える事業を密かに立ち上げている。
精密に構成されたAIに意志はあるのか。そこに意志を感じる人とは何なのか。
死んだ存在と再び会って話しがしたい。そんな誰もが持つ願いを残酷さと罪ではなく、ここまで優しく書けることがまず凄い。
でも、決してその倫理と向き合っていないわけではない。
ただどこまでも前を向いているだけ。
様々な人が居なくなった存在と向き合うために、二人のAIを求める。そこに様々な思惑が絡み合う。
どんな結末になろうとも、そこにあるのは亡くなった者へ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!失われた〝誰か〟をAIがよみがえらせる──愛と倫理の物語
『よみがえらせ屋』は
「香り=記憶」という軸で
近未来のAI再現を描く快作です──!
上流階級の空気、家族の温度差
ビジネス倫理が一本の糸でつながり
読者を静かに締め上げます。
主人公・女子高生AIエンジニアの
色葉のプロ意識と、玲央の繊細な矜持
そして〝裏側〟を抱える璃久の無垢さが
三角形の張力を生み
会話だけでドラマが進む場面も
こちらの心拍を上げる──
技術設定は嗅覚データやログの遅延など
〝具体〟として提示され
SFの説得力とサスペンスの推進力が両立。
暴力に傾く手前で
必ず倫理の線を示す語り口が
作品の品位を保っています。
番外編~第一・二章にかけては
友情と祈りが物語…続きを読む - ★★★ Excellent!!!技術が祈りに変わるとき―― AIと“心”の、その先へ
晴久様の「よみがえらせ屋やってます」は、単なるAI技術や倫理の限界を語る物語ではありません。むしろ、ページをめくるごとに、“人が人を想う”ということの本質に、そっと触れさせてくれる作品です。
亡くなった人を“再現”する未来的な設定でありながら、物語の中で描かれるのは、愛や祈り、赦しといった、どの時代にも共通する深い想い。その一つ一つが、とても優しく、時に切なく心に響いてきます。
AIがもたらす温もりは、果たして「模倣」なのか、それとも「本当の継承」なのか──。その答えは、きっと読者ひとりひとりの胸の中で、静かに問いかけられるでしょう。
「AIと人間の心」というテーマに興味がある方…続きを読む