どこまでも優しく紡がれる、AIと人間の残滓を繋ぐ物語
- ★★★ Excellent!!!
天才AIプログラマーであり、上級家系のお嬢様女子高生 玖城色葉。彼女の婚約者である柊玲央。
二人はAIに記憶と人格のようなものを与える事業を密かに立ち上げている。
精密に構成されたAIに意志はあるのか。そこに意志を感じる人とは何なのか。
死んだ存在と再び会って話しがしたい。そんな誰もが持つ願いを残酷さと罪ではなく、ここまで優しく書けることがまず凄い。
でも、決してその倫理と向き合っていないわけではない。
ただどこまでも前を向いているだけ。
様々な人が居なくなった存在と向き合うために、二人のAIを求める。そこに様々な思惑が絡み合う。
どんな結末になろうとも、そこにあるのは亡くなった者への愛であり、希望だ。
人は2度死ぬ。1度目は肉体が滅んだ時。2度目は誰かから忘れられた時。
2人はもう一度、悲しい想いをさせないために、今日もAIのアルゴリズムを設定する。
それが依頼人の救いになることを願って。