マルチビジネスという闇をただ静かに見つめる少しだけ甘くて苦い物語
- ★★★ Excellent!!!
一昔前に一世を風靡したマルチビジネス。
それは今の時代も確かに存在していて、ふとしたところに根付いている。
マルチにハマっている母親、マルチに勧誘されそうな友人、マルチで買わされた20万の鍋セット
日常的に使う商品をマルチの商品に代替えし、品が良いからと消費し、他人へと勧める。それは口コミで良いものを勧めているようでいても、他人はそれをどこか冷めた目で見つめている。
それって人的資本の切り売りで、マルチビジネスにのめり込むほどに人間関係は希薄になり、マルチの集まりに執着していく。
でも、その空間には確かに助け合える共同体が成り立っていて、世間から切り離されるからこそ、強い団結と結束感が生まれる。
そういう場に救いを得ている人も確かにいるのだ。
マルチビジネスはただお金を得るためだけではない。何かを抱え、何かを失い、何かを探している人たちが集まる場所。
そして、それに振り回される家族がいる。
そんな家族を持つ女の子がマルチビジネスのパーティに誘われて着いていく話し。
決してマルチビジネスを一方的に悪く言うでもないし、擁護するわけでもない。ただ純粋にそこにいる人々を優しく見つめる良作です。