概要
病室で意識を取り戻したススム。
彼の目の前にいたのは、奇抜な服装と振る舞いの少女、リンドウだった。
リンドウはススム専属の介助用人工知能で、これから自分が生活を支援するという。
が、とても人工知能とは思えない破天荒な振舞いに翻弄され、ススムは戸惑う。
それでも二人で時間を過ごすうちに、やがて彼女に惹かれてゆくススム。
そんな彼に、リンドウはひとつの事実を打ち明ける。
……笑うなよ。あたしな、海、みたいんや。いつか、君といっしょに。
ススムがその言葉の本当の意味に気づいたとき。
その先にあるもの。
世界の向こうの真実が、開いてゆく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ここにあるのは、とても大切なもの……( ;∀;)
「人工知能×青春小説」に応募されている作品です。
僕はこの企画を見た時に、人工知能「AI」と呼ばれる存在ってなんだろう、と改めて考えました。で、そこの極みは「知能」という領域は「ある部分」と密接なものであり、結局の所、人間と何も変わりがないと言う結論に至りました。
機械だから感情がない、心がない、と言うけれど、人間の全てがそんな観念的で理想的な感情や心を持ち得ているかと言えば、甚だ疑問です。世の中、変なおっさんもいるし、わからずやのおばさんもいるし、考えの至らないビジネスマンもいるし、人の心を理解出来ないモンスターでクレーマーで、どうしょうもない人はたくさんいます。
だけど、AIをして…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読むたびに、見える世界が変わる。
可愛らしくひょうきんなメディケアノイド、リンドウ。
長い眠りから目覚めた主人公・ススムの周囲を元気いっぱいに飛び回り、ススムをからかってみたかと思えば、慈愛に溢れたやさしさで包んでくれる。
そんな2人の物語です。
最終話を読み、もう一度最初から読み直してみてください。
一度目とは、見える風景が全く違う。そして不思議なことに、その暖かくやさしい、光に包まれたような世界が、一層うつくしく見えるのです。
二度目を読み終える頃には、読者は彼らのこの先の未来を想像します。
そしてもう一度、暖かくおだやかな心に包まれるのです。
「削除されるなら、海と君のあいだで。」
この物語の核となる、大切な言葉。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!潮風の記憶と虹色の髪
目を閉じると、波の音が遠くから聞こえてくる。そんな感覚を呼び覚ましてくれる物語。舞台は、私たちが知る現実から遠く離れた未来。人間の命や心の在り方が大きく変わった世界で、ススムは長い眠りから目覚めます。そこは、医療技術や人工知能が驚くほど発達し、病院の中も外の街も、かつての常識とは違う新しい姿を見せていました。自動運転の乗り物が走り、誰もが自由な服装や髪型で過ごし、暑さの増した気候に合わせて一年中半袖でいる人々。病室も無機質な空間ではなく、音楽や花、柔らかな風が心を癒やすように設計されていました。
主人公のススムは、家族や自分の過去を思い出せず、孤独や不安に揺れ動きます。その心の隙間を、…続きを読む