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初めに私自身のことを
私こと三浦晴海は、ある地方都市に住む二十代の女性です。職業は公務員で市役所に勤務しています。部署は地域振興課のまちづくり推進室で、ふるさと納税や移住の
これ以上のプロフィールについては、この場で詳しく伝えることはできません。読まれた方々が私を通じて、勤務する役所や地域にネガティブなイメージを抱かれてはいけないからです。当然、本作品も私の仕事とは一切関係ありません。どうか過剰な
事の
大叔父の三浦
墓参りの時期には実家を訪れることもあり、
10年ほど前に肺ガンを
そんな大叔父が、不運にも他人の運転する車に
今年の3月20日の夕方。自宅近くの横断歩道を歩いていた大叔父は、信号を無視した乗用車に撥ねられました。大叔父は
私がそれを知ったのは事故発生から3時間ほど経った夜でした。実家の固定電話が鳴ったあと、母の緊迫した返答の声が聞こえて、何かよくないことが起きたと予感しました。それでも『卓のおじさんが、事故で亡くなったって……』という母の言葉は信じられませんでした。その可能性は全く想像していなかったからです。
その後、父と3人で病院へ向かい大叔父の
なお逮捕されたのは隣の区に住む46歳の男性会社員でした。事故を起こした道路は仕事で日常的に利用しており、大叔父を撥ねたのも会社の営業車でした。当初は『分からない』だの『覚えていない』だのと
大叔父の81年の生涯はこうして幕を下ろしました。いつかはこんな日を迎えると思っていましたが、あまりにも突然で、理不尽で、容易には受け入れられない心境でした。あの真面目で心優しかった大叔父の最期がこんな形でいいのかと、前方不注意で大叔父を死に至らしめた運転手にやるせない怒りが湧きました。
しかし何を言ったところで大叔父が戻ってくることはなく、起きてしまった不幸が
その時は、それで終わるものと思っていました。
なぜ『あしか汁』のことを話してはいけないのか 三浦晴海 @miura_harumi
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