冬の帳村の住民は雪の日に記憶を失くす、ただ一人の少女以外は

― 主人公の新奈が感じる孤独は、雪の降る日に頂点に達する。なぜなら、その日の出来事を彼女以外の村人たちは全て忘れてしまうからだ。新奈たちが暮らす冬の帳村には古くから伝わる言い伝えがあり、雪の日には妖精が現れて悪戯をするが、それに関わった者にはいずれ幸福が訪れるという。しかし、その裏には信じ難い真実が隠されていた―

 この物語は序盤から多くの謎に包まれ、新奈の複雑な心情や、彼女たちが暮らす閉塞感漂う児童養護施設、そして村の風景が丁寧に描かれています。物語の前半はゆっくりと進み、読者の心をじっくりと掴んでいきます。
 しかし、物語が後半に進むにつれて、その展開は急速に加速します。サスペンスやミステリー、そしてSFの要素が巧妙に絡み合い、息をつく暇もないほどのスピード感を持つ展開が続きます。そして、ラストには驚愕の真実が待ち受けています。

 ぜひ、序盤はじっくりと味わいながら読んでみてください。後半の予想外の展開にきっと驚かされることでしょう。

その他のおすすめレビュー

RIKOさんの他のおすすめレビュー196