第12話 死んだ奴らが出現

「船があるなら、あたし達もそれで来ればよかったんじゃん?」

(なんか腹立つコイツ)


「いや、僕はあの国で指名手配されてたから、船はダメなんだ」


「あんた、一体何したの?」

「それは‥‥‥」


「ま、いいわ、あたしはあんたをペンタリアの王都まで連れてったげるつもりだから何も訊かないでおくわ」

「すまない」


 三人は、アルの背中に乗って砂漠を進んだ。


 すると、いきなり砂の中から何かが現れ、ミコ達に襲いかかってきた。


 ルイスが咄嗟に抜いた剣でその場を凌いだが、次々と奴らは砂の中から現れてきた。


『ミコっ、ここから先は、ゾンビ砂漠だ!喰われたらみんなゾンビになってしまう!中に入って!』

 三人はまたアルの中に逃げ込んだ。


 アルが閉じる瞬間に、一人のゾンビが入り込もうとしたが、ミコが足で蹴り出した。


「アル、大丈夫?」

『うん、でも、多すぎる。囲まれたよ、あっ、でも!』


『ミコっ、おいらに任せろ!』

 そこにわらわらと現れたのは、バキュームカーほどの大きさのシデムシだった。


 シデムシたちは、ゾンビを頭から喰らっていた。


「シデムシのデムね!そっか、ゾンビは死んでるから、シデムシの餌になるのね!」


「なんでシデじゃないんだ?」

 ルイスがくだらない質問をしてきたので、無視した。


『モグモグ、ミコ、覚えていてぺッくれたんだ。クチャッ光栄モグだなぁ』


「口にモノを入れたまま喋るのは良くないわ。だけど、助けてくれてありがとう!」


 他のゾンビも超ビッグサイズのシデムシ達に次々と食べられていった。



 デムに別れを告げ、ゾンビ砂漠を無事に抜けて、一行はまた、アルの背中に乗って旅を続けた。


「ここからがペンタリア国の王都だよ」

 王都は賑わっていた。


「あれが王宮だ。ここからは馬車で行けるよ、本当に世話になった」

 ルイスは、ミコとアルに頭を下げた。


『ミコと旅ができて嬉しかったよ』

 アルが云った。


「ありがとう、アル!」

 アルは立ち去った。


「じゃ、ルイスも元気でね!」

 ミコは、ルイスに明るく別れの挨拶をした。


「ミコ、また、逢えるかな」

 ルイスがミコの目をまっすぐに見つめ、別れを惜しむように云った。


「知らないわ。運が良ければ会えるんじゃない?」

「僕は、君が‥‥‥」



 その時、どこからか十数人の兵士が現れ、ルイスは剣を突きつけられた。

「何すんの!」

 咄嗟にルイスを庇ったミコも、ついでにケンも捕えられ、三人とも縄で縛られ城内に連行された。


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前世で、虫やら草やらに16回も転生させられた挙句、しまいには異世界に転生して虫やら草やらに助けられて成り上がりました 七月七日-フヅキナノカ @nyakosense

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