第11話 アナコンダサイズのチン出現

 ミコとルイスとケンは、再びアルのお腹の中に入り、フンが転がして海岸線沿いを進んだ。


 ルイスは早速、アルのお腹を撫で始めた。それを見たケンも触ってみて、目を輝かせた。

「母さんの、おっぱいみたいだ」

(はぁ、男ってのはどいつもこいつも)



『ミコ、聞こゆる?』

 フンが問いかけた。


「うん、何?」

『ここが、対岸のペンタリア国に一番 ちけえ場所や』

 ミコ達は外に出た。


『わしは泳げんけん、もうここまでや、気いつけてな』

「ありがとう、フン」


 ルイスとケンも丁寧に礼を述べ、フンは立ち去った。


『僕は泳げるから、今度は背中に乗る?』

「そっか、アルマジロは泳げるんだったね!」

『じゃあ、背中に‥‥‥、危ない!』


 三人はまた、アルの中にいた。

『向こうの丘の上から、また矢の嵐だよ』


「どうしよう。このままじゃ渡れないし、誰か助けて〜』



『美琴、いや、ミコ。俺たちに任せて!』

 海の中から声が聞こえた。

「誰?」


『俺だよ。チンアナゴのチン』

「チン!でもどうやるの?」


『俺たち、海底の砂にずらっと並んでるから、俺たちの上にアルが乗っかれば、どんどん送ってやれるよ』

「そんな事できるんだ!」


『ミコ、どうやら海の中に、アナコンダサイズのチンアナゴたちが並んでるよ』

 アルが云った。


「アナコンダサイズのチン‥‥‥」


「ミコ、そこで切ってはダメだ」

 ルイスは真剣な顔をしていた。


「ん?」

「それは、デカいイチモ‥‥‥、うぐっ」

 ミコの鉄拳がルイスの腹にめり込んだ。

「黙れ、このエロ男爵!」


「じゃ、チン、お願い!」

 ミコとルイスとケンは、アルの中で壁(お腹)を押した。


 ハムスターの回し車の要領で、海の上までアルを転がしたら、あとはチンアナゴたちが、次々とアルを対岸のペンタリア国まで運んでくれた。


「さてと、さすがに矢はもう飛んで来ないわね」

 チン達に別れを告げたミコは安心した顔をしていた。


「いや、奴らはきっと船でやって来るだろう」



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