第10話 光る石出現
「お姉ちゃんを追いかけて来たんだ」
飛び降りて来た少年は、ミコの弟のケンだった。
「えっ?どうしてあたしの居場所が分かったの?」
あの家を飛び出してから、もう数日が経過している。
「お姉ちゃんがいなくなってから、母さんが持ってたこの石が光りだしたんだ」
そう云ってケンは、首に掛けていた紐を服の中からひっぱり出した。
紐の先には、一.五センチくらいの石がついていた。石は光の加減で色が変わる不思議な石だった。
「この石は、母さん達がお姉ちゃんを拾った時に、首に掛けてあったって」
ケンはミコにその石のついたペンダントを手渡した。
「綺麗な石だったから、母さんが自分のものにしてたんだって。ごめんなさい」
「あんたが謝る事ないよ」
(ごうつくばりの女だ)
「でね、お姉ちゃんがいなくなった時から、これがずっと光ってて、母さんが気味が悪いって外に捨てたのをボクが拾って」
「で、夢の中で、この石がお姉ちゃんの居場所を教えてくれるって言うから、ボク、朝起きてすぐに、通りかかった荷馬車に乗せてもらったんだ。時々、親切な人がご飯をくれたり」
「あんた、馬鹿なの!悪い人に捕まったら、売られてしまったかも知れないのよ!」
「‥‥‥ごめんなさい」
ケンは涙を浮かべた。
「いい弟じゃないか、ミコ。叱らないでやってくれよ」
ルイスが口を挟んだ。
「‥‥‥そうね。言い過ぎた、ごめん。ありがとう、ケン」
その石のペンダントを首に掛けて、ミコはケンの頭を撫でた。
「だけど、一人で帰す訳にはいかないわ。ルイスをペンタリア国の王都に送り届けなきゃならないから、一緒に行くわよ」
「うん!」
ケンは、満面の笑みを浮かべてうなづいた。
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