あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜ!
おれは、『ホラー小説』だと思って、この話を読もうとしてた。登場人物は学者らしき男と助手の二人。その二人で怖さとは何かを語り合ってた。『理解不能』なものが恐怖。そういう理論が真面目ぶってる感じなんで、なるほど、と思いながら俺は読んで、後になったら『ブラボー!OH! ブラボー!』なんてレビューでも書こうかと思ってた。次に出てくるのも定番の因習村の話で、結構面白そうかな、なんて感じてた。
そう思ったら、いつのまにか『変なサイボーグ』が出てきて、話が全部『台無し』になってた。
な…何を言っているのかわからねーと思うが、おれも、何を読まされたのか、わからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった… 目の錯覚だとか文字化けだとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…。
でもよ、その後もずっと、話は続くんだ。どうやら最後で『台無し』になったこの小説、作中の学者が書いてるっていう設定らしいんだ。それで助手が毎回どうにか阻止しようとして、禁止事項を設定する。それで今度こそ、まともなホラーが読めるんじゃないかって期待するんだ。
あとは、あんたが自分の目で確認して欲しい。
あんたはこれを読んでどう思う?
『グレートですよ こいつはぁ!』と絶賛してくれるか?
『やれやれだぜ』と呆れるか?
『レロレロレロレロ』と現実逃避をしちまうか?
とりあえず、まずはページを開けてみてくれ!
おい! 待ってくれ! 『だが断る!』とか言わないでくれ!
まずは一話だけでいい。それで、ちょっとだけでも俺と同じ気持ちを味わって欲しいんだ!
あなたはこれまで「予想通りに予想外が起こる」作品というのを読んだことはあるだろうか。
読んだことがないのなら、是非この作品を読んでほしい。
高い描写力から捻り出される予想外に、あなたの口は引きつることだろう……
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この作品には「あたらしいホラー」実現という高い志を持つ博士と、
彼の目標達成をサポートする助手がいる。
博士は恐らく本気で書いているのだが、あたらしさの実現のためならば、一切の犠牲を惜しまない人物であるため、
読み進めるたびに助手の気持ちがこちらとシンクロするのである。
凡庸なカオス。
なんという苦い言葉だろう。
しかし、エジソンも10000回くらい実験したのだから、
この作品もまた10000話ほど進めていただき、名作の模倣が続くホラー界に風穴を開けていただきたいと、切に願っている。