これぞ、生まれ変わりの面白さです。
元々、生まれ変わりと言えば仏教的な「輪廻転生」の思想こそが本家です。
当作品ではそうした輪廻転生の思想に基づき、「様々な生き物」に生まれ変わる女性の姿が描かれて行きます。
蝉、ミミズ、コノハズク、フンコロガシ、と、生まれ変わる先の生物は、正直「なりたい自分」とは程遠い生き物ばかりです。『あまり仮面ライダーの怪人にも使われてこなかった奴ら』という枠組みにもなれそうですね。
だが、それが面白い!
あまり馴染みのない生き物だからこそ、その生態を追体験する楽しさが増し、新鮮な視点で世界が見られるというもの。
その上で生物に関する薀蓄が学べるので、読んだ後は一つ賢くなって帰れるというお得感。
個人的にポイントが高かったのは、第四話のフンコロガシの話の際に、「ファーブル昆虫記の一話目はフンコロガシ」というエピソードが出てくるところ。
実際にファーブルの本に触れてみた人は、最初のモチーフを見て面食らうという「あるあるネタ」です。カブトムシとかカッコいい物を求めていた人はそれで挫折し、「シートンの方がいいや!」と流れてしまうのもお約束です。
視点の新鮮さ、モチーフの新鮮さ、そして知的にちょっと満たされる感じ。
そういう色々が味わえる作品です。
次はどんな生き物が出てくるか。乞うご期待!