第10話 狙われた四神
四神も公達も酔っ払い、収集がつかなくなりかけたところで、
「……」
すっかり目の据わった、七人――。羽邏が首を傾げ、「
「
羽邏は、あらゆる病や怪我を治す力に長けている。当然、酔っぱらいから酒を引かせることも可能で、瞬時に六人はシラフに戻った。
「あの、羽邏さん、どうしておれだけ……」
「あ、そうだ、皆さん。随分騒ぎ散らかしてしまいましたから、店主や他のお客さん達にちゃんと謝ってくださいね」
麒麟の追及を素知らぬ顔でかわす、羽邏。
「うるせえなぁ。……まあ、
「うなぎ、美味しかったわぁ! また食べに来るわねぇ!」
「そうじゃのぅ。次は我が主殿も連れて参ろうぞ」
「よもや四神と酒を酌み交わすことになるとはのう。まあ、
続いて
「
「店主よ、ここに
最後に残ったのは、羽邏と麒麟。
「……おれも一応、たらふく酒を飲んだんですが……」
自分だけ「凰和」をかけてもらえなかったことに、麒麟は納得できなかった。
「いや、その必要はないかなって」
「な、なんでっ? おれだって酔ってるよ……?」
「麒麟さんは、そういう次元じゃないというか、もはや
「いやいや、化物って! 神に化物なんて言われたら、おれも地味に傷つくというか……! おれにも『凰和』してよ! おれも酔っ払ってるからさぁ……!」
「――ほぅら、うー君! 置いてくわよぉ〜?」
店先から愛染の呼ぶ声がして、「はーい」と羽邏がピヨピヨと駆けていく。
一人店内に残された、麒麟。パチパチパチと瞬きをした後――。
「……お、おれにも『凰和』してよぉ! うー君!!!」
密かに摩訶不思議な術に憧れる麒麟。しかし、うわばみの彼にその術は必要ない――。そう四神による確かな判断により、今回はお預けを食らう羽目となった。
ヘイアン公達による、都案内が続く中、不穏な
「……おい麗清」
「分かっておるぞよ。五人……いや、八人じゃな?」
「ふん。さっさと蹴散らせて、終わりにしてやろう……!」
怒髪天を衝く勢いで、牙琥が掌で放電する。
「待つのじゃ、牙琥。ここは
「っち! わぁってるよぉ!」
旨いメシと酒にありつけた恩もあり、牙琥が静観の姿勢を見せる。
先頭を行く満仲と安孫もまた、同じく不穏な輩の存在に気が付いていた。
「見よ、安孫のすけ。
「……狙いは四神の方々か」
「そうじゃろうのう。さて、
ニッと口角を上げた満仲に、太刀を握る安孫が言う。
「
「合点承知のすけじゃ。よし、参るぞ……!」
その合図で、颯爽と安孫が後方へと駆け出した。
「え? なぁに? どうしたの、安孫ちゃん……!?」
「奴ならば案ずることはない! 皆の者、わしについて参れ!」
満仲に急き立てられ、事情を察している水影と麒麟が四神を走らせる。
「ピュアアアア」
先導する満仲に続く四神と、その後ろを走る麒麟。そして、安孫の加勢のために残る水影。
「あいつらだけで大丈夫なのかぁ? 不仲なんじゃねえのかよぉ?」
走りながら牙琥が訊ねるも、数人の輩と対峙する二人の姿に、麒麟が笑みを浮かべて言う。
「大丈夫ですよ。なんたってあの御二人は、
「瑞獣だとぉ……?」
その言葉に牙琥は立ち止まった。輩と一戦交える二人に向かい、きっと振り返った。
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