ソフィア・ボビナ
「あの子はソフィア・ボビナ。人間が作り出した人間。」
「つまり?」
僕が聞き返すと、師匠は、
「倫理的に言えばタブーの塊みたいな存在だね。簡単に言えば人工生命。人間が作り出した生命体だね。」
師匠の淡々と何かを説明するような声。
人工生命。確かまだ細胞を作り出すとかその段階だったはずだ。
「そんな神の真似事みたいな……それで、それがなんであそこまで追い回される理由に?」
「研究者はあの子に色々な機能というか、能力みたいなものをつけたんだよ。例えば、『不老不死』だったり、『ナノマシン』だったりね。それだけじゃない。彼女は異世界へ行く鍵にもなり得る。」
「異世界?」
「別世界のことだね。もし別世界に行くことが出来たら?もしかしたらそこを植民地にして世界を広げられるかもしれない。でもさ、逆に考えてみて?」
「逆にこっちが植民地にされるってことですか?」
「そう。私たちはその別世界がどんな世界なのかわからない。もしかしたらパラレルワールドかもしれない。もしそこの住人が僕らでは対抗できないレベルの力を持っていたら?」
「やばいですね。」
「そう。やばいんだよ。もし彼女を使われてしまったらなにが起こるかわかったもんじゃない。」
「わかりました。護衛、頑張りますね。」
「あ、あとこれからあの子と夕飯食べるんだっけ?」
「そうですけど。」
「まあ、上手くやってけよ。別に私としては源とあの子がくっついてもいいと思うから。」
「僕はあくまで護衛ですよ。確かに彼女は可愛いと思いますけど、彼女が僕のことをどう思ってくれるかはわからないですし。」
「命懸けで守ってくれる人のことは絶対好きになると思うけどね……」
「そんなことないと思いますよ。実際好きにならない人もいましたし。まあ、僕は傷つきたくないので。安全策で行きますね。」
「ヘタレだね。その内クソボケとか言われないようにね。それじゃあ、護衛よろしく。」
師匠はそう言うと通話を切った。僕は携帯をしまい、ソフィアのいる食卓へと向かう。
あくまで護衛対象。恋愛対象じゃない。
それに僕の護衛は結構大きな役割だ。気を引き締めていかないと。
その頃、水面下で大きな争いが起ころうとしているのだが、その時の海野に走る由もなかった。
用語解説
・『人造人間』
人間を改造し、他の生物のDNAを混ぜることで、身体能力の強化、その生物の特性を能力として使うことができる存在。テラフォーマーズのバグズ手術みたいなもん。
・『人工生命』
人造人間と違い、完全に一から作られた人間のこと。
細胞は愚か、元の構造から作れるため、『不老不死』、『ナノマシン』などが組み込まれている。
・『不老不死』
完全に死なないこと。
重症を負っても即座に再生ができる。
所有者ソフィア、師匠
・『不死身』
絶対に死ぬことはない存在のこと。
不老不死とは違い、一度死なないと再生が発動しない。
一度死ねば状態がリセットされ、ほぼ全回復できる。
所有者、〇〇 ○
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