誘拐犯
師匠の送ってきた場所まで移動する。そこは郊外の廃倉庫。
この倉庫の中にいるのか。
倉庫の扉を思い切り開けた。
中には椅子に縛り付けられたソフィア。それと、。腰のベルトに幾つかの武器を下げている黒い衣服を着た少年が立っていた。身長は165センチほど。僕より20センチくらい低い。
少年はこちらに気付き、
「PG01さんですか?早かったですね。なんでしたっけ?ソフィア?で間違い無いですよね?にしてもこんな女捕まえてどうするんですか?」
どうやら僕のことをPG01とかいう人だと思い込んでいるらしい。
PG01というのは多分この少年を雇っている人のことだろう。
僕は今のこの状況を利用することにした。
「まあ、それは色々だよ。とにかく、ソフィアを渡してくれない?」
とりあえずそれっぽいことを言い、少年にソフィアを渡すように促す。
「なんかやけに態度が小さいですね。やっぱりリアルだと気が弱い人なんですか?まあそうですよね。こんなコソコソしたやり方で一人の女子高校生を攫うだなんて……」
「いいから渡せ。」
「なんか変ですね。あなた。『合言葉』覚えてます?」
合言葉?知らんぞ。そんなもん。
なんだ?PG01……
PG01ってどこかで……
確かどこかで見た気が……
瞬間。海野の中に溢れ出した記憶。
某ファミレスに行った時、手持ちが300円しかなくて頼んだメニュー。
ペペロンチーノと並び、価格の安いメニュー。
その名は!
「ミラノ風ドリア。」
「正解です。にしてもPG01なんて……変な名前ですね。」
「まあ、たまたま思いついた名前だからしゃーなし。」
適当に返事を返しながら、そっとソフィアを抱き上げる。それから、外へと出ようとした瞬間、一瞬妙な気配を感じる。
それを感じた瞬間、体の重心を左にずらし、身を傾けた。
それと同時に聞こえるパンという発砲音と右腕のすぐ横を何かが通り抜けていったかのような風圧。
僕はソフィアをそっと下ろし、少年の方を向く。
「なんだ。バレてたのか。」
「バレバレですよ。というかそもそも合言葉なんてありませんよ。それでも滑稽でしたね。ミラノ風ドリアって。」
「まあバレてるならこっちからも手出すか。手短に行くよ。時間ないからね。」
僕はそっと拳を構えた。
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