出会い

 家に戻ると、黒塗りの高級車が一台止まっていた。

僕が帰ってくると、車の中から一人の少女と、一人の長身の男性、師匠が出てきた。

師匠は「やあ」と挨拶すると、一緒にいた少女のことを紹介する。

少女は薄い色の金髪に、水色の目、少し幼い顔の少女だった。世間では美少女ともてはやされるタイプだろう。

そういえばどっかで見たことがあるような気がする。


「この子はジョセフ・ジョースター。」


「嘘ですよね?師匠。そんなフィジカル化け物の紳士じゃないですよ。この子は。」


「じゃなくて、この子はソフィア・ボビナ。ロシア出身の16歳の子だよ。彼女にはちょっと事情があってね。」


「それで一緒に住めって言うんですか?」


「そうだね。お願いできるかな?」


「いや、師匠の家で済ませればいいんじゃないですか?」


「だって、私妻いるし……それに君にもメリットがあるんじゃないか?」


「まあ……そうかもしれないですけど。」


少しソフィアのことを見る。まあ、確かに可愛いし、一緒に住んだらそういう関係になるかもしれない。でもな……一緒に住むってなると色々面倒臭いし、気を遣わなきゃいけない気もする。

そんな僕の考えを読み取ったのか、ソフィアが口を開く。


「私、家事はやるので!」


「まあ、それはありがたいな……」


というか、ソフィアの事情ってのはなんだろう。


「彼女もそう言ってるし、それでいいんじゃないか?もし無理だって言うのなら、僕に戦って勝ったならいいけど。」


「それは……無理な話ですね。ところで彼女にある事情ってのはなんですか?」


「それについては……まだ詳しくは言えないけど、とにかく、彼女の護衛を頼みたいな。」


「護衛……ですか……何から守るんです?」


「『人造人間』かな?」


『人造人間』とは改造された人間のことである。人間離れした身体能力を持ち、場合によっては他の生物をベースとした能力を持っていることも多い。

そんな化け物達から追われている人を守れだって?冗談じゃない。


「それ絶対僕の手に負えないやつじゃないですか。」


「大丈夫。君ならできる。」


「その謎の自信はなんなんですか?」


「私の中にいる、何かが告げているんだ。と、言うわけで今日は帰るよ。」


師匠はそういうと、即座に車に乗り込んで、帰っていってしまった。


僕は改めてソフィアの方を見る。

そして気まずくなり、一言。


「とりあえず……お茶でも飲んで話をしようか。」


「そ……そうね。」


それが僕とソフィアの最初の出会いであった。

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2024年10月24日 06:12

高校入って一人暮らしはじめたら外国人美女と一緒に食うことになった件について 海野源 @gen39

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