きみしにたもうことなかれ

 作家が社会での無力に苛まれることはよくあることで、別段それはポーズというばかりでもない。

 実際に人気稼業の割にその反応は鈍いしね。

 周りは気にせず太く生きろ。

 というのが、明治初期の日本の文人にして近代同人誌の開祖にしてフェミニズムの先駆的実践者というべき人物、与謝野晶子の教えでもある。

 嘘です。

 嘘でもない。

 彼女の反戦詩も勝ち戦であるだけに煽っている割に余裕もある。

 当人、書いたときには反戦意識なかったかもしれない。

 それでも一気に炎上したのでスターダムにのし上がったわけだ。

 生きてなきゃ次回作もないので、生きて先生の次回作をお楽しみに!

 ってだけの話なんだけどね。

 それでも時流を得て、人々が与謝野晶子を時の人と認めたからこそその後がある。

 まぁアレだよな。

 

 作家志望だったら、同人作家と結婚しとけ。

 って話になるんじゃね?


 結局のところ有能なパートナーの存在が自分の心を長く支えるというのは彼ら夫妻の活動の秘訣であるように思うし、一方で自死を選んだり悲劇的な破綻に至る作家を思うと、家庭に恵まれない人々が多いように見える。

 文豪がついでにおこなえるような片手間仕事でないことも大きいのだろうけど、逆になぜ片手間仕事でできないのかのほうが不思議にさえ思えるときもある。

 たぶんその答えの前をボクは何度も通り過ぎている。


 ボクは家族であっても他人の人生に責任を持たないからだ。

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ネット小説は脳に効く。 小稲荷一照 @kynlkztr

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