『異端』と『異端』が交錯する時、少女たちは何処へと向かう?

 序盤からとにかく、「何かすごいことが始まりそう」という雰囲気いっぱいの作品です。
 一言で言えば、『オーラがある』と表現するのが正しいでしょう。

 主人公である舞。彼女はある抗いがたい『業』を内に秘めていた。
 生き物を殺すことが楽しくてならない。その瞬間にだけ心が激しく満たされ、まずいことだと思いつつも激しい衝動に駆られてしまう。そうして時折小さな虫を殺すなどして、どうにか自分自身の衝動に折り合いをつけていた。

 そんな彼女の前に、ある時『一人の少女』が姿を現す。雪蝶と名乗る彼女は、無数の赤黒い蝶の群れと共に姿を見せると、舞に対して「これから試験をする」と口にする。
 その試験に合格すれば、舞はこの世の理を越えた上位の存在に変われるという。生き物の命を自在に奪ったり戻したりできる雪蝶の力を見て、舞は試験を受けると決める。
 
 そして、その試験とは……。

 生き物を殺したいという衝動に抗えない、異端の精神を持つ舞。その彼女に対し、『殺す』ことを義務づけるような試練を課す雪蝶。
 この先には、既存の倫理や常識を踏み越えた『更なる異端』の道が待っていることでしょう。
 世の理から外れ続け、人ならざる道へと突き進んでいく舞。この先、彼女にはどんな運命が待っているのか。
 
 序盤からの舞の持つ異端な感じが丁寧に描写されているため、そこに秘められているポテンシャルがひしひし伝わってくる作品です。彼女たちは最終的にどこへと導かれ、どんな光景を見せてくれるのか。
 強い個性と可能性に満ちた作品です。

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