令和のコインロッカーベイビーズ

 主人公、龍ヶ世舞は日々生き物を殺したくなる殺害衝動に悩まされると言う、高校一年生の女子高生でありながら吉良吉影もびっくりなヤバい内面を持つ女の子です。

 そんな舞さんの前に、舞と瓜二つの謎の少女、雪蝶さんが現れます。

 この話は始まるのです。

 現在まだ4話なのでこの先どうなるのか全く予想できませんが、怒涛の展開続きで既にただならぬ内容になっているのです。

 雪蝶さんは何者なのか……人間?それとも?
……そして二人の関係性は?

 気になって仕方ありません。

 そんな挑戦的な異色作でありながら、作者さんによるともう既に完結まで書き終えていると言う事です。

 この後どうなるのーと、気になったまま謎は闇のまま……なんて事にならないのです。

 さあ、一緒に舞さんの行く末を見届けましょう


——さて、ここからは余談


 ある種背徳的な世界のエッジに生きる主人公の女性と、そこに現れる女の人との儚くて朧げなある種禁断の関係性……と言うと、小生は芥川賞作家、村上龍先生のトパーズを思い出します。

 最近の龍先生はテレビで経済の偉い人と話してる頭の良さそうな人……というイメージはありますが、昔の龍先生は狂った世界で背徳的に生きる主人公たちをひたすら描く、やばくてキレッキレの小説家だったのです。

 デビュー作で芥川賞を獲った「限りなく透明に近いブルー」から既に狂気のオンパレードだったのですが、ずっと狂ってるのに読み終わった時には不思議とそちら側の方が自然で、狂ってるのは我々がいるこちら側なのでは……と思いそうになるのです。

 龍先生の小説はホラーではない……と思って読んでいたのですが、そう言えばオーディションは映画化された時にがっつりホラー映画になっていましたし、実は龍先生の小説ってホラーだったのかもしれません。

 つい話が逸れてしまいました。

 いけません年を取ると余計な長話をしてしまいます。

 さて、今作「途方もなく愚かで、途方もなく美しい蝶」なのですが、読んでいてなぜか龍さんの「コインロッカーベイビーズ」を読んだ時の事を思い出しました。

 もちろん小説の内容は全然違うのですが、あの小説が持っていたあの時代のある種の熱は今の時代にはもうなくなってしまったのだと思っていました。

 ですがそれは違うのかもしれません。

 誰も書かないだけで、本当はなくなってはいないのです。

そして、今の時代の、令和のコインロッカーベイビーズを書くとするなら、それがまさに今作「途方もなく愚かで、途方もなく美しい蝶」なのではないか……

 ふと、小生はそう思ってしまうのです。

 と言ってもまだ物語は序盤。

 実はこれを書いてる4話の時点で既に、コインロッカーベイビーズだけでなく、令和のバトルロワイヤルになりそうな予感すらしています。

 バトルロワイヤルと言えば深作欣二先生の不朽の名作、灯台組の悪夢再びです。

 おっとまた話が逸れてしまいました。いけません年を取ると以下略。

 読み終わった時に実際に貴方の心には何が残って行くのか、ぜひ、一緒に見届けましょう。