おいおい、俺が何したんだよ。心当たりなんて……ある、のか?

 青春の痛みを感じさせられる一作でした。
 こういうことって、たしかに高校時代にあるよなあ、と何人かの顔が浮かんできました。

 主人公の佐島は、同級生の水沢琴葉に彼氏ができたことを知る。そのことにモヤモヤしたものを覚える中で、「水沢は佐島から嫌われていると思っている」という事実を聞かされる。

 どうして、彼女がそんな風に思ってしまったのか。心当たりを探ることになります。

 顔も良くて女子からも人気のある佐島。そんな彼のちょっとした発言などが、人には思わぬ影響を与えてしまうことも。

 高校時代などには自己肯定感に悩んだり、人の気持ちがわからずに一喜一憂してしまったり、とにかく繊細に色々なことを考えてしまうものです。だから、自分の取った発言などを過剰に重く受け止められ、知らず知らずに人間関係にひびが入ることも多々。

 仲が良かったはずの女子から突然猛烈に嫌われていたり、そんな青春時代の思い出がある方は少なくないはず。もうちょっと、しっかり話が出来ていれば。
 そんな青春の痛みを思い出させられもする、切ない心情が描き出された一作です。 

その他のおすすめレビュー

黒澤カヌレさんの他のおすすめレビュー515