コミュ力は一日にしてならず。共感性MAXなイメトレ失敗系ラブストーリー

 一話目の段階からとてつもなく面白いです。

 主人公は「彼氏いない歴=年齢」のOL。朝はコンビニでイメトレをし、どうしたらお気に入りの後輩の「真広くん」を翻弄できるか、「ちょっと小悪魔的」な高コミュ力女性的なセリフを反芻します。

 そしていざ、会社で真広くんと対面。さあ、イメトレ成果はいかに!?

 しかし、いきなり予想外の話題が飛び出し、結局ろくに対応もできず。
 結局は練習したことの十分の一も言えず、「寡黙な人」みたいな感じでかっこいい、更には「武士みたい」という微妙な褒め言葉をもらう、というオチを迎えます。

 こういう風に「理想の自分」をイメージし、会話を主導できるんじゃないかと考えること、多くの方に経験があると思います。
 でも、コミュ力なんて一朝一夕では身に着くものじゃない。結局は本作の主人公のように、すごく無難な単語だけを口にし、「空回り」ないし「回ってすらいない」状態になってしまうのが常。

 そんな風に、冒頭から高い共感性を示してくれ、時には共感性羞恥すら起こしかねないほどのパワーを持った作品です。

 一人称の地の文も楽しく、イメトレの中の「できる女」な姿と、現実の低コミュ力な感じのギャップで何度も笑わされます。

 果たして、真広くんとの恋の行方は。先がとても楽しみな作品です。