ホラー好きの心を激しくくすぐってくれる、そんな面白い作品でした。
都市伝説として存在する、「異世界エレベーター」の話がモチーフとなっています。
その都市伝説を検証しようとする高校生たち。その先で「ある人物」と遭遇する。
そこから場面が変わり、マンション内でトラブルに見舞われた一家にスポットが当たります。
いつの間にか、「異世界(ホラー的な意味での)」に迷い込んでしまった家族。その中で必死に生き残る術を探ろうと奔走します。
このような「クローズドな環境」の中で自らの命を守ろうと奔走するシチュエーションというのが、ホラーならではの異界探訪があってとにかくワクワクしました。
「謎の見えない壁」の出現など、異界ならではの法則が存在し、既存の常識だけではうまく移動することさえままならない。
その中で、彼女たちは一体どんな結末を迎えるのか。
エピソードとエピソードの間に「空白」を作り、「その間に何があったのか」を想像させるのがとにかく上手い。「都市伝説を検証しようとする高校生たちの物語」。「異界に迷い込んだ家族の物語」。その二つが繋がる時、「間にあった何か」について、読者はあれこれと想いをめぐらすことになります。
ホラー好き、都市伝説好きの心に強く刺さる、とても楽しい一作です。