その語り口は、まるで傘に落ちる雨音のように。楽しげに、それでいて静かに、まるで踊り出したくなるような二人の交流。日本の梅雨は湿度が高くて暑くて、だから匂いもたちこめる。ちょっとだけ寂しさを抱きながらも、王女様は目の前にいる男性に悪戯っぽく笑う。そんな休日の物語です。
訪れた国で出会った見知らぬ日本人に「あたし」は名乗る。ジェーン・ドゥと。本名を伏せて。そんな「あたし」に合わせるように、男性も理想的な答えを返してくれるのだった。実は小国の王女である「あたし」が一人で異国の街を探索するという流れは、某有名モノクロ映画を彷彿とさせます。しかし、黄昏時から始まる本作品は色鮮やかで美しい光景が広がり、ロマンスに華を添えていました。自由奔放な王女と謎めいた男性との素敵な一日に、ときめいて。
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