概要
――俺は今年もカケクラで勝って、そして、「最速」になる。
一時間に二本しか電車の来ないような集落、矢田には、「カケクラ」という奇妙な風習があった。数か月前に都会から転校したばかりの志田美奈子が聞いたところによると、年に一度、中学生たちが山道を走り速さを競うというものらしい。「カケクラ」の日が近づいてくるにつれ、学校全体が次第に異様な雰囲気に包まれるようになる。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!因習村×スポーツ!? 異色の青春エンターテイメント短編!
日本の田舎ならではの閉鎖的な人間関係と、肉体を磨き上げ爽やかな汗を流すスポーツドラマ。およそあり得ない組み合わせが奇跡的な調和を見せ、薄暗い山道に一陣の爽やかな風が吹き込むような不思議な感動を呼ぶ小説だ。
因習村と言い切るのは若干誇張もあるかもしれないが、舞台となる集落「矢田」は一時間に二本しか電車の来ないような田舎であり、「カケクラ」という謎の風習がある。
これは神社に続く山道で伝統的に行われている中学生たちの競争なのだが、都会から来た主人公が「カケクラ」について知っていく流れはまさに因習ホラーのワクワク感。そして「カケクラ」の正体が明らかになると、閉塞した人間関係のトラブルを挟ん…続きを読む