概要
僕らはずっと戦争の中にいる。だから誰も、平和の作り方を知らない。
僕たち戦闘機パイロットにとって、墜ちた仲間を忘れるっていうのは礼儀のひとつだ。
僕の属する国ヒノメはずっと、それこそ僕の曾祖父が生まれる前から隣国と戦争状態にある。小休止を繰り返しながら延々と続く戦禍の中では、兵士は消耗品みたいなものだ。だから、「彼女」のことも忘れていた。
彼女──勝利の女神(ニケ)をパーソナルマークに持つ戦闘機と同じ愛称で呼ばれるパイロット。
彼女は、致死率七割の激戦を生き残った伝説だ。そんな彼女のことすら、戦争は忘れさせる。
忘れさせる、はずなのに、彼女が墜ちて半年も経ってから、情報局の人間が「彼女」のことを聴きに来た。
僕や、彼女の担当整備士であったアガヅマは否応なしに彼女を思い出す。そして理解する。僕らは全然、彼女を思い出にできていなかったのだと。
空の上では、誰の手もつかめない。引き留められない。
僕の属する国ヒノメはずっと、それこそ僕の曾祖父が生まれる前から隣国と戦争状態にある。小休止を繰り返しながら延々と続く戦禍の中では、兵士は消耗品みたいなものだ。だから、「彼女」のことも忘れていた。
彼女──勝利の女神(ニケ)をパーソナルマークに持つ戦闘機と同じ愛称で呼ばれるパイロット。
彼女は、致死率七割の激戦を生き残った伝説だ。そんな彼女のことすら、戦争は忘れさせる。
忘れさせる、はずなのに、彼女が墜ちて半年も経ってから、情報局の人間が「彼女」のことを聴きに来た。
僕や、彼女の担当整備士であったアガヅマは否応なしに彼女を思い出す。そして理解する。僕らは全然、彼女を思い出にできていなかったのだと。
空の上では、誰の手もつかめない。引き留められない。
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