血も凍りつく夏の戦慄――次の夏は平和な海の眼差しで


最後となる夏の海での仲間との戯れ。
そんな中、突如として現れた軍艦からの軍事侵攻。
多くの命が凶弾に倒れる中、巫女ウルスラが放った冬招き巫術でこれを耐え凌ぐ。

その威力は凄まじく、敵軍はおろか、その辺り一帯の大河をも一瞬で凍りつかせたこの巫力は、絶対零度魔法を思わせるローファンタジーそのもの。

この大河を永遠に冬とするならば、血も凍るような夏の戦慄も、凄絶なる憎しみの連鎖も、そっと悄然として氷の中に閉じ込めてしまえば、勝利も敗北もない戦争を回避できるのだろうか。

長きに亘り、その示威的な施しを残すでしょう。
来年の夏も、きっと大河は凍り続けているでしょう。

夏のような暑さとは言わない。
あの時、みんなで戯れた夏の思い出のように、
せめて、心の氷を溶かす熱を、夏の名に思いを馳せて、願いとして届かせて欲しい。

すべてをあの日の続きからまた、始められるのだから。